東京大学文学部 現代文芸論専修課程 野谷 文昭 文学特殊講義 「ラテンアメリカ文学研究I」 2007年夏学期 火曜2限 10:20-12:00 法文1号館210番教室 |
1960年代に、いわゆる<新しい小説>を中心とするラテンアメリカ文学が、スペイン語圏はもとより世界的規模で読者を獲得し、ジャーナリズムが<ブーム>と名づけた現象を巻き起こした。日本でも1970年代後半から1980年代に掛けて翻訳紹介が相次ぐとともに一種の<ブーム>的状況が見られ、いくつかの作品がインパクトを与えたことは確かである。だが、わが国の場合、多分に商業主義的性格の強い<ブーム>という言葉の陰で、作家・作品について本格的に論じられる機会はあまりなかったと言える。 この講義では、主に<ブーム>期に代表作を発表したガルシア=マルケス、コルタサル、フエンテス、バルガス=リョサらの作品を取り上げ、複数の観点から再検討するとともに、<ブーム>以後の作風の変化とその意味について考えてみたい。同じ趣旨で冬学期に引き続き「ラテンアメリカ文学研究Ⅱ」を開講するが、夏学期の講義は概論的性格が強く、テキストには翻訳を用いるので、スペイン語履修は条件としない。 シラバス:順不同でおよそ次のようなテーマを扱う。 1)言葉の刷新:近代主義・前衛詩・新小説、2)実験と言葉遊び、3)ユーモアとエロスの回復、4)ラテンアメリカ主義か普遍主義か、5)キューバ革命への参加と離反、6)独裁者という存在、7)魔術的リアリズムと遠近法、8)ラプラタ的幻想とカリブ的幻想:ミステリーを巡って、9)文学とジャーナリズム、10)歴史の捏造、11)クイア小説は可能か、12)女性の語り、13)文学と映画 参考文献は授業時に指示する。 【学部と共通】 |
成績評価の方法 毎回提出してもらうレスポンスシートと期末のレポートによる。 |