『ロシア近代文学の青春 反省と直接性のあいだで』について
本書は1840年代ロシア文学の、アレクセイ・プレシチェーエフとアポロン・グリゴーリエフというという二人の文学者の作品と思想を分析したものです。19世紀初頭のロシア文学は、ロマン主義からリアリズムへの移行、スラヴ派と西欧派の対立という図式で語られることが普通ですが、高橋氏はそういった伝統的な二項対立の図式に必ずしも当てはまらない文学者の営為を通じて、西欧の哲学の影響を深く受けながらも、それを批判的に乗り越えていこうとした1840年代ロシアの文学を多角的に描き出しています。 |