2018年度 現代文芸論研究室授業内容(S1ターム / S2ターム


「博士・修士論文指導」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1(隔週)

博士課程:現代文芸論専門分野の博士課程に在籍する大学院生を対象として、博士論文執筆に向けて、指導教員が個別に指導を行なう。

修士課程:現代文芸論専門分野の修士課程に在籍する大学院生を対象として、修士論文執筆に向けて各指導教員が個別の指導を行なう。




「文芸批評理論(12)」【学(現代文芸論概説Ⅰ・後期教養)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
S1+S2
2単位
月・2

大橋洋一 現代文芸論概説I 文学批評理論概説 後期教養教育科目 学部 20世紀と21世紀の文学批評および文化理論にを概説する。20世紀の批評理論を、英米圏のフィルターを通して、理論の概要を解説し、その適用方法を実例とともに示し、理論にもとづく実践を試みる。21世紀も10年後半に入る現在、新しい批評の流れもあわせて紹介する。前半は形式重視の理論、後半は内容分析が主となる。 また理論的に考察に対する偏見を払拭し、理論的考察の意義と重要性を明確にしたい。




ことばと文化9)」【院共(近代文学特殊講義I・後期教養教育科目)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
S1+S2
2単位
月・5

近現代の世界の文学を(現代日本文学も含めて)、一国一文学の枠を超えた視点で読解・研究していくための基本的な枠組みを提供し、各自の個別の研究への応用を考える。世界文学のなかで生ずる、時空を超えた響きかわしに特に注意を払う。
具体的な作品を読むことを通じて、ことばと文化的アイデンティティ、文学作品の翻訳、文化の固有性と越境性、批評理論は時代や国を超えて普遍性を持ちうるか、理論と実践の対話は可能か、「世界文学」は可能か、といった「大きな話題」をあえて真面目に考え、各自の個別の専門分野の理解の深化につなげていきたい。


子供の文学/大人の文学——スペイン語圏の場合【学(近代文学特殊講義Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・2

近年、スペイン語圏の主要な作家たちのなかに、児童文学やYA文学の体裁をとる作品も書いている者が少なくない。そうした作家たちの児童向けとそうとは思われないものとを比較参照しつつ見ていくというのがこの授業の主旨である。ただし、子供向けの作品とそうでないものとを定義したり理論化したりする意図があるわけではない。個々の作家の活動のヴァリエーションとして確認しようということである。




マリオ・ガルバス=リョサを読む【院共(現代文芸論演習Ⅲ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・3

マリオ・バルガス=リョサの長篇小説『楽園への道』(2003)を読む。『楽園への道』はペルー生まれの女性フローラ・トリスタンとその孫ポール・ゴーギャンを扱ったもので、ペルーの問題にこだわってきた作家が、ペルーやラテンアメリカを越え世界の他の地域を舞台として扱うようになった作品でもある。ペルー文学/ラテンアメリカ文学/世界文学といった階層とその関係、展開などを考える素材ともなるのではないかと思われる。これを熟読する授業である。



中欧文学論3)」【院共(近代語近代文学演習Ⅱ】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
S1+S2
2単位
水・3

1978年に発表されたハヴェルのエッセイ「力なき者たちの力」の講読を進めながら、その思想的背景(ヤン・パトチカら)、同時代の文学者の反応(ミウォシュら)を検討しつつ、社会主義体制下における文学表現の可能性について考察を行う。




チェコ文学を読む【院共(近代文学特殊講義Ⅲ】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
S1+S2
2単位
水・4

カレル・チャペックの『マルシアス、あるいは文学の余白に』は、新聞の記事として執筆されたものが大半であるにもかかわらず、新聞、おとぎ話、探偵小説、ユーモア、アネクドート、諺など、様々な言語現象、文学現象を多面的に掘り下げた論考でもある。この授業では、チャペックのテクストの精読を通して、チェコ語の読解力を身につけると同時にチャペックの文学世界のエッセンスに触れることを目標とする。




イサベル・アジェンデ精霊たちの家を読む」【学/原典を読む】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
水・5

イサベル・アジェンデ『精霊たちの家』(1982)はガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』(1967)の後継者と称すべき作品と讃えられた名作である。この現代の古典とも言うべき作品をスペイン語の原文で読もうというのが、この授業の主旨である。




現代文芸研究の方法と実践【院(専限)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野・柳原・阿部(賢)・亀田
S1+S2
2単位
木・2

*受講・履修は、現代文芸論専門分野の学生に限る。

現代文芸論における文学研究の基本的な方法を身に付け、それを各自の興味に応じた研究に応用する。現代文芸論専門分野修士課程の院生のために、修士論文執筆に向けての準備を行う。




ポーランド語入門【院共(近代文学特殊講義Ⅰ】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
S1+S2
2単位
金・2

ポーランド語文法の基礎を学び、発音の基礎を身につけ、辞書を引きながら簡単なテキストが読めるようになるまでを目指す。基本的には語学入門の授業だが、並行して、文化・歴史的背景も学ぶように努める。




現代日本小説の技法4)」【院共(現代文芸論演習Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 公彦
S1+S2
2単位
金・4

小説作品というものを私たちはどのように批評的に話題にできるのでしょうか。今年はとくに「文体」という観点から、作品の細部に注意をむけて読む方法について検討します。




2018年度 現代文芸論研究室授業内容(A1ターム / A2ターム


博士修士論文指導【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1

博士課程:現代文芸論専門分野の博士課程に在籍する大学院生を対象として、博士論文執筆に向けて、指導教員が個別に指導を行なう。

修士課程:現代文芸論専門分野の修士課程に在籍する大学院生を対象として、修士論文執筆に向けて各指導教員が個別の指導を行なう。




世界の中の日本文学(2)」【学(比較文学概論/持ち出し)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
河野 至恩
A1+A2
2単位
月・2

本講義では、日本文学を世界的な文脈から読み直すという昨年の講義の継続として、近現代日本文学と複言語主義というトピックを扱う。複言語主義(plurilingualism)とは、個人が複数の言語を使用する状況をいう。近年、日本文学においても、外国語を母語とする日本語の作家や、日本語を母語とするが複数の言語で書く作家が注目を集めているが、近現代日本文学の歴史を振り返ってみれば、複数の言語に精通した作家、複数言語を含む「日本文学」のテクスト、また、作品のテーマとして「複言語主義」を扱うテクストは多く存在している。本講義では、複言語主義を考えるうえで重要と思われるテクストの読解を通し、その近現代日本文学の歴史における意義について考えたい。




アイマラ語とアンデス文化【院共(近代語学特殊講義Ⅳ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
藤田 護
A1+A2
2単位
月・3

南米アンデス高地で使われるアイマラ語は現在でも約200万人の話者をもち、ケチュア語やグアラニー語と並び、南米大陸でもっとも多くの話者をもつ先住民言語のひとつである。この授業では、アイマラ語の文法を学び、簡単な会話や口承文学のテクストを読むことを目指すとともに、これまでに言語人類学、歴史言語学、社会言語学といった分野でアイマラ語に関して議論されてきた内容を概観し、考察する。なお、隣接するケチュア諸語の中でも、南部諸方言については随時言及することとなる予定である。

 

世界/日本文学へのアプローチ(13)」【院共(現代文芸論演習Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
月・5

 世界の文学を広い視野から(日本文学も視野に入れて)研究していくための様々なアプローチを考え、特にこれから大学院で本格的な研究を始めようとする者のための研究入門的ゼミとしたい。  東欧文学(ロシアを含む)、亡命作家・越境的な文学など、他の伝統的な研究の枠組みに入らない分野を研究する大学院生や、外国のバックグラウンドを活かしながら現代日本文学・文化を研究しようとする留学生も歓迎する。

 

ラテンアメリカ文学概論(6)」【学(近代文学特殊講義Ⅳ/持ち出し/導入】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・2

ラテンアメリカ文学の歴史を概説する授業ではあるが、毎回、主な作家の短篇小説を一編ずつ読み、それを巡ってその作家や彼/彼女の周辺の文学思潮を概観する。  短篇小説(cuento, relato)は長篇小説(novela)とは別ものである。文学の概念の中には短篇、長篇、詩、その他のジャンルが含まれるものであるから、短篇のみでこれを語り尽くすことはできない。短篇で辿るのはあくまでも入り口であり、一部である。が、その一部から全体を理解するよすがとしたい




ラテンアメリカ文学演習6)」【院共(近代語近代文学演習Ⅰ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・3

近年、新たに訳されたスペイン語圏の文学作品を読み、他の関連授業で得た知見などとも関連づけながら、ラテンアメリカ文学、ひいては世界文学、および本文学の一部としての翻訳文学についての見識を深める。




ボヘミア文学概論3)」【学(近代文学特殊講義Ⅴ)/持ち出し/導入】

担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
火・4

「ボヘミア」を多言語的な空間として緩やかに捉えて、この地における文学の多様性および多層性について検討する。「ボヘミア/チェコ/プラハ」における文学は様々な言語で執筆されているが、「チェコ文学」「ドイツ文学」といった従来の国民文学の枠組みを一旦留保して、都市あるいは地域を単位とする文学史の構築を試みる。今学期は、チェコスロヴァキア建国の「1918年」前後の現象を中心に扱うこととし、文学と関連する美術、建築、音楽などの状況にも適宜触れる。




文学文化批評理論9)」【院(演習)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
A1+A2
2単位
火・5

21世紀に入ってから、新たな批評動向が生まれ、それまでの批評理論を旧理論と呼ぶにいたる勢いすらみせている。ここではそれらを以下の4つのターン(転回)とみて考察する。すなわち1)動物論、 2)認知文学論。3)アフェクト論、4)エコロジカル(アフォーダンス)文学論である。これら4つのターンがどのような可能性と射程とをもっているかを概説し、実際の文学作品研究への適用可能性を模索します。



英語の小説を訳す/読む【学(多分野講義Ⅳ/後期教養)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
A1+A2
2単位
水・2

前半は翻訳演習。毎回1-2ページの短い英文を全員が訳してきて授業に臨み、ディスカッションによって訳文の質を高めあう。 後半は短篇小説講読。毎回10-20ページの英語の小説をあらかじめ全員が読んでレポートを書いてきて授業に臨み、ディスカッションによって理解を深めあう。 形式は昨年の集英社高度教養寄付講座授業「英語の小説を訳す/読む」(水2)とまったく同じだが、使用するテクストはすべて異なる。




現代文学論1)」【院共(現代文芸論演習Ⅳ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・3

モーリス・ブランショは68年5月革命について「爆発的なコミュニケーション」と評したが、その動きは、パリ、プラハ、メキシコ、東京など、言語的、文化的境界を越えた同時代性を有していた。この授業では、1968年に刊行された作品を並列することで見いだせる同時代性の検討を行うとともに、1968年を描いた作品も視野に入れた文学における「1968年」を検討する。


ボフミル・フラバル研究3)」【院共(近代文学特殊講義Ⅶ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・4

中欧の作家ボフミル・フラバルの初期短編を訳出しながら、フラバルの作品世界を堪能する。とりわけ、テクスト読解を通して、フラバルの小説世界を、チェコだけではなく、中欧文学の文脈に位置づけることを試みる。なお、テクストは、チェコ語の原文および英訳を用いるので、いずれかの言語の知識があればよい。


スペイン語現代文学を読む2)」【院共(近代文学特殊講義Ⅵ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
水・5

1冊のスペイン語による現代小説を1ターム10数回の授業てせ読み終え、スペイン語の小説を読む訓練をするのが、本授業の主旨であり目的である。




Creative Writing and Reading in the 21st Century【学(多分野講義Ⅲ/持ち出し)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
デビッド・ピース
A1+A2
2単位
木・4

The course aims to further the students’ reading and understanding of Twenty-first Century Literature by building and developing their skills in Creative Writing. Using examples and extracts from both classic and contemporary texts, the course will examine characteristics of literature in the Twenty-first Century with particular emphasis on the Short Story.




文学と翻訳3)」【院共(現代文芸論概説Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
山本 史郎
A1+A2
2単位
金・2

イギリスの短編小説をいくつか取り上げ、その一部を翻訳しながら、作品の読みと翻訳の関わりについて考える。Translattion Studiesの主要な議論を適宜紹介する。

 

ポーランドの言語と文化【院共(近代語学特殊講義Ⅱ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
金・2

ポーランド語文法の初歩を学んだ者を対象とし、ポーランド語文法の基礎を引き続き習得するとともに、比較的平易なポーランド文学のテクストを少しずつ読み進める。またポーランド文学・芸術・映画などについての話題も適宜折り込む。語学を身に付けながらの、ポーランド文学・文化への入門を目標とする。

 

ロシアとヨーロッパ——19世紀前期〜中期のロシア文学と思想【院共(近代文学特殊講義Ⅷ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義高橋 知之
A1+A2
2単位
金・4

ロシアとヨーロッパ――19世紀前期~中期のロシア文学と思想 この授業の目標は、ロシア文学の古典的な文献を精読しながら、ロシア文学および思想について理解を深めることにある。「驚くべき十年間」と称される1840年代を中心に、1820年代~60年代を対象範囲とし、特にヨーロッパとの関係という観点から、ロシア文学史・思想史上の諸問題について考察していく。たんにヨーロッパから受けた影響のみを問うのではなく、同じコンテクストにおけるロシアのアクチュアリティを問うていきたい。

 

現代アラブ文学への招待【院共(近代文学特殊講義Ⅲ)】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
岡 真理
A1+A2
2単位
集中講義

「現代アラブ文学」の概説講義を通して、現代アラブ文学とはどのような文学であるかについて基本的なイメージをつかむ。さらに、現代アラブの小説作品における「ワタン(homeland)」表象を通して、「ワタン」がつねに問題とならざるをえない現代アラブ世界のありようとともに、人間にとって「ワタン」とは何かという今日的問いについて考える。