共催 東京大学人文社会系研究科現代文芸論研究室、スラヴ語スラヴ文学研究室

ユスティナ・ヴェロニカ・カシャ博士特別講義

Doctor Justyna Weronika Kasza(Nicolaus Copernicus University, Poland)


遠藤周作のエッセイと評論における悪の解釈学

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——翻訳者と作家の間で——
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本講演では、「悪の翻訳不可能性」が作家としての遠藤周作にとって、いかに重要な問題であったかを明らかにしたいと思います。具体的には、1940年代から1980年代までの作品(エッセイと評論)に基づき、悪と罪をめぐって作家がどのような疑問を抱き、どのように思想を発展させたかを分析します。
理論的方法としては、ポール・リクール (Paul Ricoeur) の解釈学(hermeneutics)のアプローチを応用して、悪の問題が遠藤周作(人間、外国文学の読者、翻訳者、作家)にどんな影響を与えたかを探究します。講演では西洋文学、特にフランス文学がどの程度遠藤周作の世界観を形作ったかについても議論します。今回の講演は英語で書いた博士論文Hermeneutics of Evil in the Works of Endō Shūsaku: Between Reading and Writing (Oxford: Peter Lang, 2016)の内容に基づいたもので、論文に英訳で収録したエッセイを出発点とし、解釈学における翻訳ストラテジーや翻訳不可能性の問題を主要な目標として検討します。

*キーワード:遠藤周作、解釈学、ポール・リクール、翻訳学、翻訳不可能性、世界文学


講師プロフィール

ユスティナ・ヴェロニカ・カシャ博士は、ポーランドのトルン市にあるミコワイ・コペルニクス大学日本研究科准教授。現在、同大学で日本文学、日本研究、翻訳研究を教えている。2013年、リーズ大学(イギリス)で博士号取得。2016年、博士論文をもとに、単行本著書 Hermeneutics of Evil in the Works of Endo Shusaku: Between Reading and Writing (Peter Lang, Oxford)を出版した。最近の研究活動の一環として、2016年にはハーバード大学世界研究所主催の夏期集中セミナー第6回セッションに参加した。2018年10月から、上智大学比較文化研究所に客員教授として滞在している。現在、国際交流基金からの研究助成金を受けて、次の著書 The “I” in the Making: Rethinking Japanese Shishosetsu in a Global Age の執筆に取り組んでいる。

 

日時 2018年12月17日(月) 午後5時〜6時30分

場所 東京大学法文1号館2階219教室(本郷キャンパス)

December 17, 2018 (Monday) 5: 00 - 6:30 pm
Room 219, 2nd Floor, Faculty of Law and Letters Bldg. No. 1 Hongo Campus, The University of Tokyo

*事前予約不要、専門的関心をお持ちの研究者の皆様のご来聴を歓迎します。
*講義は日本語で行われます。
 The lecture will be delivered in Japanese; no interpretation will be provided.

 

 


アクセス

最寄り駅 地下鉄丸ノ内線・鉄大江戸線「本郷三丁目」徒歩10分、地下鉄南北線「東大前」徒歩10分、地下鉄三田線「春日駅」徒歩10分

問合せ先 現代文芸論研究室

tel & fax: 03-5841-7955