2016年度 現代文芸論研究室授業内容(S1ターム / S2ターム


「博士・修士論文指導」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1(隔週)

博士課程:現代文芸論専門分野の博士課程に在籍する大学院生を対象として、博士論文執筆に向けて、指導教員が個別に指導を行なう。

修士課程:現代文芸論専門分野の修士課程に在籍する大学院生を対象として、修士論文執筆に向けて各指導教員が個別の指導を行なう。




「文芸批評理論(10)」【学】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
S1+S2
2単位
月・2

20世紀と21世紀の文学批評および文化理論にを概説する。20世紀の批評理論を、英米圏のフィルターを通して、理論の概要を解説し、その適用方法を実例とともに示し、理論にもとづく実践を試みる。21世紀も10年代半ばを迎えようとする現在、新しい批評の流れもあわせて紹介する。前半は形式重視の理論、後半は内容分析が主となる。




ことばと文化7)」【学】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
S1+S2
2単位
月・3

近現代の世界の文学を(現代日本文学も含めて)、一国一文学の枠を超えた視点で読解・研究していくための基本的な枠組みを提供し、各自の個別の研究への応用を考える。世界文学のなかで生ずる、時空を超えた響きかわしに特に注意を払う。
具体的な作品を読むことを通じて、ことばと文化的アイデンティティ、文学作品の翻訳、文化の固有性と越境性、批評理論は時代や国を超えて普遍性を持ちうるか、理論と実践の対話は可能か、「世界文学」は可能か、といった「大きな話題」をあえて真面目に考え、各自の個別の専門分野の理解の深化につなげていきたい。




現代文芸研究の方法と実践2)」【学・院/専限
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野、柳原、阿部(賢)
S1+S2
2単位
月・5

現代文芸論における文学研究の基本的な方法を身に付け、それを各自の興味に応じた研究に応用する。現代文芸論専修課程の学生のために、卒業論文執筆に向けての準備を行う。




ラテンアメリカという」」【学/持ち出し】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・2

「南」をどこからどこまでとするか厳密な定義は行わないものの、「南」という地理と地政と地詩を考える。イベリアやラテンアメリカが欧米のメインストリームから見て南に位置することは言うまでもないが、その南から世界を見直した時に文学作品はどのように読むことができるか、北と南との関係として考えるときにどう読めるか、等々、「南」というキーワードに関連づけられそうな文学作品を読む。




ホルヘ・ボルピ『クリングゾールをさがして』を読む【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
火・3

メキシコの作家ホルヘ・ボルピの長編小説『クリングゾールをさがして』の翻訳(安藤哲行訳、河出書房新社、2015)を(使用可能言語に応じて)スペイン語原典や英訳なども参照しながら演習形式で読む授業である。ボルピ(1968-)は1996年、仲間たちとともに「クラック宣言」というのを出し、先行するラテンアメリカ文学の作家たちの潮流との決別を計った作家で、宣言後、満を持して発表した代表作が『クリングゾールをさがして』である。ナチスの原爆計画とヒトラー暗殺計画を巡る長編小説で、ラテンアメリカもしくはメキシコといった地域に縛られない小説である。




「中欧文学論」【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
S1+S2
2単位
水・3

多言語的で多中心的と称される「中欧文学」の可能性と限界について、評論および作品の読解を通して、理解を深める。国民文学と世界文学の中間に位置する「中位のコンテクスト」として中欧文学を位置付けながら、複数言語で執筆された作品と作品のあいだの共鳴の度合いを検討していく。




ロシア語中級【学/外国語】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
エカテリーナ・グトワ
S1+S2
2単位
水・4

一年間学習したロシア語の基礎的知識を発展させ、応用力をつけることを目指す。その際「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」という4つの側面をバランスよく学習することを目標とする。身近なテーマから始め、様々な話題を取り上げ、文法事項を復習しながら、また語彙を増やしながら、口頭表現を身につける。発音やイントネーションも重視する。また作文の練習を行う。




ガブリエル・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』を読む【学/原典を読む】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
S1+S2
2単位
水・5

ガブリエル・ガルシア=マルケス(1927-2014)の長編小説『コレラの時代の愛』(1985)は作者本人が、「私の代表作は『百年の孤独』だが、私のお気に入りの小説は『コレラの時代の愛』だ」と述べるほどの愛着を表明した作品で、ガルシア=マルケスの精髄が詰まったものと言えよう。この作品をゆっくりと、一語一語味わいながら読むことを目標とする。




フリオ・コルタサルの短篇世界【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
内田 兆史
S1+S2
2単位
木・2

アルゼンチンの作家フリオ・コルタサル(Julio Cortázar, 1914-1984)の初期から中期にかけての短篇作品を、ブリュッセル郊外に生まれ、バルセロナを経てブエノスアイレスで育ち、後半生をパリで過ごした彼の生涯との関係から読み直し、とりわけ作家自身とその作品における都市や移動といったテーマとの関係を探ることを目的とする。アルゼンチンで執筆した作品である『動物寓意譚』Bestiario、パリに移ってから発表した『遊戯の終わり』Final del juego、『秘密の武器』Las armas secretas、などの収録作品を中心に扱い、必要に応じて未刊行の作品を多く含む『対岸』La otra orillaや同時期に書かれた長篇、その後の短篇作品なども参照する。




現代日本のポップカルチャー【学/持ち出し】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
千田 洋幸
S1+S2
2単位
木・3

1980年代以後のポップカルチャーとその歴史について、文学との連続性を視野に入れながら考察する。主にアニメ作品を取り上げ、村上春樹を中心とする現代文学に適宜触れる。ポップカルチャーと文学を含む現代文化が、この社会/世界をどのように語ろうとしているのかを追究していきたい。
前半は、1980年代以後のアニメ/文学の流れを通時的に追う。後半は、現代文化について語る際に欠かせないトピックである「キャラクター」「美少年」「身体」「災害と文化」等の概念について考えていく。
なお、ここ20年ほどの主要なアニメ作品は、授業開始前になるべく多く観ておいてほしい。例えば、『美少女戦士セーラームーン』『新世紀エヴァンゲリオン』『涼宮ハルヒの憂鬱』『けいおん!』『魔法少女まどか☆マギカ』『輪るピングドラム』『ラブライブ!』など。




文学と翻訳1)」【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
山本 史郎
S1+S2
2単位
金・2

翻訳の実例と理論的言説を検討することで、翻訳の分析・批評に必要となる諸概念を学び、a)翻訳とは何か、b)翻訳について語るというのはどういうことか、について理解を深める。




フィンランドの言語と文化【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
石野 裕子
S1+S2
2単位
金・3

本講義の目的はフィンランド語の基礎を学ぶこと、フィンランドの歴史や文化を学ぶことを通して、北欧の一国であるフィンランドに関する理解を深めることにある。ウラル語族に属するフィンランド語は英語、フランス語といった言語とは異なる系統であり、日本人には馴染みがない言語であるが、日本人にとって発音しやすいなど学びやすい面も存在する。本講義ではフィンランド語の初歩的な文法を理解し、自己紹介や簡単な会話ができるようにすることを目標とする。また、フィンランド語を学ぶと同時に、フィンランドの歴史や文化についての知見を深めるようにする。




現代日本小説の技法2)」【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 公彦
S1+S2
2単位
金・4

日本で今現在書かれている小説作品を、私たちはどのように批評的に話題にできるのか検討します。単に「感想」を述べるだけでなく、参加者が自分なりの問題意識をどう立てられるか、どのように小説語りが可能か(あるいは不可能か)を考えます。




ロシア中東欧の映画と文学【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野・阿部(賢)、楯岡、亀田
S1+S2
2単位
金・5、6(隔週)

20世紀後半から現代のロシア中東欧映画を取り上げ、映画を鑑賞するとともに、その背景にある文学・文化について考察し、また映画を生み出した社会・歴史的な状況についても検討する。映画について映画研究の専門的な立場から分析するというよりは、映画を通じて中東欧諸国の文化や歴史を学ぶことに主眼がある。ロシア中東欧を緩やかな文化圏と捉えながら、授業ではなるべく広い視野からこの地域の様々な映画作品を取り上げる。4人の講師が専門地域に応じてリレー形式で授業を担当する他、専門家をゲストとして招き、解説をしていただくこともある。




2016年度 現代文芸論研究室授業内容(A1ターム / A2ターム


博士修士論文指導【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
各教員
通年
2単位
月・1

博士課程:現代文芸論専門分野の博士課程に在籍する大学院生を対象として、博士論文執筆に向けて、指導教員が個別に指導を行なう。

修士課程:現代文芸論専門分野の修士課程に在籍する大学院生を対象として、修士論文執筆に向けて各指導教員が個別の指導を行なう。




世界文学へのアプローチ5)」【学/持ち出し・導入】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
月・3

専門分野・言語は問わず、これから文学部で文学を本格的に研究しようとする皆さんのためのイントロダクション。現代の文学を広い視野から、一国一言語の枠にとらわれないで、また日本も世界の一部として視野に入れながら読んでいくための入門的な授業。国民文学と「世界文学」の概念、外国文学を原語で読むことの翻訳で読むことの違い、文学にとってのローカルなものとグローバルなもの、といったトピックを扱いながら、並行して何人かの具体的な作家の例に即して文学作品の現代的な読み方を検討していく。




世界日本文学へのアプローチ12)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
月・5

世界の文学を広い視野から(日本文学も視野に入れて)研究していくための様々なアプローチを考え、特にこれから大学院で本格的な研究を始めようとする者のための研究入門的ゼミとしたい。
東欧文学(ロシアを含む)、亡命作家・越境的な文学など、他の伝統的な研究の枠組みに入らない分野を研究する大学院生や、外国のバックグラウンドを活かしながら現代日本文学・文化を研究しようとする留学生も歓迎する。




ラテンアメリカ文学概論(4)」【学/持ち出し・導入】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・2

ラテンアメリカ文学の担い手となった代表的な作家たちの代表的な作品を読みながら、文学史の流れや社会とのかかわり、作家個人の特徴、個々の作品の面白さなどをさぐる。ラテンアメリカ文学に対する基礎知識のない者でも受講可能とし、教材は主に翻訳のあるものを配布する。多くはスペイン語で書かれたものからの翻訳で、翻訳の存在しないものは担当者が翻訳して配布するので、スペイン語の知識も要らないものとする。




ラテンアメリカ文学演習4)」【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
火・3

ラテンアメリカ文学を主題とした、あるいはラテンアメリカ文学との関係で多分野を扱った卒業論文を書く予定の学生や、その予定はなくても、ラテンアメリカ地域の最近の文学に親しみ、それについて何か書きたいと考える者が、その訓練を行う場とする。




ボヘミア文学概論【学/持ち出し】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
火・4

「ボヘミア」を多言語的な空間として緩やかに捉えて、この地における文学の多様性および多層性について検討する。「ボヘミア/チェコ/プラハ」における文学は様々な言語で執筆されているが、「チェコ文学」「ドイツ文学」といった従来の国民文学の枠組みを一旦留保して、都市あるいは地域を単位とする文学史の構築を試みる。19世紀中葉から20世紀中葉までの時期を対象とし、文学と関連する美術、建築、音楽などの状況にも適宜触れる




文学文化批評理論7)」【院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
大橋 洋一
A1+A2
2単位
火・5

2012年度から、エコクリティシズムについて考察し、2014年度に一応完結したが、エコクリティシズムからの派生物としても、また独自の思想的・文化的研究としても、英米圏では動物論が盛んである。今回はアガンベンやデリダの動物論を出発点として、英米での成果を積極的にとりいれつつ、動物論の射程、その可能性の中心を考えてみたい。問題点を整理したうえで、参加者もそれぞれの研究分野における動物論の可能性について研究発表を求めます。予備知識は必要ありません。






ボフミル・フラバル研究【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・2

中欧の作家ボフミル・フラバルの初期短編を訳出しながら、フラバルの作品世界を堪能する。とりわけ、テクスト読解を通して、フラバルの小説世界を、チェコだけではなく、中欧文学の文脈に位置づけることを試みる。なお、テクストは、チェコ語の原文および英訳を用いるので、いずれかの言語の知識があればよい。また映画化された作品も適宜鑑賞し、映像表現と言語表現の関係性についても考察する。


英語で書かれた現代小説を訳す/読む
【学・院/集英社高度教養寄付講座】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
A1+A2
2単位
水・2

前半は翻訳演習。毎回1-2ページの短い英文を全員が訳してきて授業に臨み、ディスカッションによって訳文の質を高めあう。
後半は短篇小説講読。毎回10-20ページの英語の小説をあらかじめ全員が読んでレポートを書いてきて授業に臨み、ディスカッションによって理解を深めあう。
(形式は去年とまったく同じだが、使用するテクストはすべて異なる。)




マイナー文学論【学・院
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
阿部 賢一
A1+A2
2単位
水・3

ドゥルーズ/ガタリの『カフカ マイナー文学のために』以降、「マイナー文学」をめぐる議論は活発に行なわれているが、一方で単なる「少数派の文学」と曲解されている事例も散見する。この授業では、「より小さな」言語での執筆が、政治、経済、社会、言語といった動態的な要素とどのような関係を構築するのかについて焦点を当てる。とりわけ「より大きな」言語との接触により、「より小さな」言語での創作の様相について、批評・作品解釈のレベルから検討する。具体的には、「ロマの文学」「沖縄の文学」を取り上げる。




「アメリカ文学入門」
【学・院/集英社高度教養寄付講座】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柴田 元幸
A1+A2
2単位
水・4

19世紀から現代まで、特定の時代に焦点を当てた教師の講義を聞く回と、その時代を代表する短篇・詩を読んでディスカッションを行なう回とを交互に行なう。
講義の回は予習不要、ディスカッションの回は全員があらかじめレポートを書いてくる。




ヨーロッパの言語と社会4)」【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
三谷 惠子
A1+A2
2単位
水・5

ヨーロッパの複雑な多言語状況を、その要因、言語間のせめぎあいによって生まれる文化的営為、言語と社会、言語と民族的アイデンティティといった角度から考察する。地域の事情や歴史的背景に参照しながら比較論考する。




スペイン語現代文学を読む1)」【学】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
柳原 孝敦
A1+A2
2単位
水・5

ヨーロッパの複雑な多言語状況を、その要因、言語間のせめぎあいによって生まれる文化的営為、言語と社会、言語と民族的アイデンティティといった角度から考察する。地域の事情や歴史的背景に参照しながら比較論考する。




ポーランドの言語と文化【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野 充義
A1+A2
2単位
木・2

ポーランド語文法の初歩を学んだ者を対象とし、ポーランド語文法の基礎を引き続き習得するとともに、比較的平易なポーランド文学のテクストを少しずつ読み進める。またポーランド文学・芸術・映画などについての話題も適宜折り込む。語学を身に付けながらの、ポーランド文学・文化への入門を目標とする。




Creative Writing & Reading in the 21st Century 【学/多分野・持ち出し】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
デビッド・ピース
A1+A2
2単位
木・4

The course aims to further the students’ reading and understanding of Twenty-first Century Literature by building and developing their skills in Creative Writing.

Using examples and extracts from both classic and contemporary texts, the course will examine characteristics of literature in the Twenty-first Century with particular emphasis on the Short Story.




20世紀のプロパガンダ表象【学・院】
担当教員
学期
単位数
曜日・時限
沼野・亀田
A1+A2
2単位
金・4

人類が想像してきた未来像の系譜を「未来の歴史」と呼ぶとすれば、この未来の歴史には、宗教的な終末論やサイエンスフィクション的な想像力のほかに、近い未来がどうなるのかという期待と不安が埋め込まれてきた。近い未来に社会がより良く発展しているという希望的観測のヴィジョンには、商業的な広告(advertising)や、様々な主体による広報・公報活動(public relations)が強く影響しているが、本講義では特に、国家が市民に未来への希望を与えるとするイデオロギー宣伝(propaganda)に着目する。1930年代から1960年代を対象に、ソ連における未来像プロパガンダを軸にしながら、そこへアメリカ文化がいかに影響したかを比較的に考察するため、「より良い未来」のプロパガンダを直接・間接的に後押しした映画作品・文学を一部上映、紹介しながら検討する。