20世紀ブラジル文学を代表する2作品、マリオ・ヂ・アンドラーヂの小説『マクナイーマーーつかみどころのない英雄』(28年)、ヴィニシウス・ヂ・モライスの戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』(56年)を精読する。
前者は、アマゾン生まれのインディオの男の子マクナイーマという、怠けもので女たらしで卑怯な〝反=英雄(ダメヒーロー)〟が、20年代のブラジルを縦断する冒険物語で、69年にはジョアキン・ペドロ監督の手によって〝サイケな〟映画になっている。
後者は、ギリシア神話に出てくるオルフェウスの悲恋を、リオデジャネイロの貧民街に舞台を移して描いた物語。ボサノヴァの誕生を世界に知らしめたマルセル・カミュ監督の映画『黒いオルフェ』(59年)の原案としても知られている。
いずれも、映画を見ながら「映像化=翻案」の問題についても考えてゆく。
また、各回の最後にひとりずつブラジル音楽の重要なミュージシャン(作曲家や演奏家、歌手)を取りあげ、歌詞の対訳を精読しながら、その詩情や背景を掘りさげてゆく。以下のミュージシャンを取りあげる予定。
Tom Jobim/João Gilberto/Caetano Veloso/Chico Buarque/Baden Powell/Elis Regina/Nara Leão/Astrud Gilberto/Milton Nascimento/Geraldo Vandré/Cartola/Ary Barroso/Noel Rosa/Dorival Caymmi/Pixinguinha
ブラジルの文学と音楽の知識を広げ、その文化と社会について学ぶと同時に、日本や西洋をまなざす際の新たな視点を得ることを目標とする。
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