世界の文学を広い視野から(日本文学も視野に入れて)研究していくための様々なアプローチを考え、特にこれから大学院で本格的な研究を始めようとする者のための研究入門的ゼミとしたい。
東欧文学(ロシアを含む)、亡命作家・越境的な文学など、他の伝統的な研究の枠組みに入らない分野を研究する大学院生や、外国のバックグラウンドを活かしながら現代日本文学・文化を研究しようとする留学生も歓迎する。
授業予定(ver.3 11/1作成)
10月3日 イントロダクション&打ち合わせ
10月10日 (休日)
10月17日 「震災後の文学」(沼野)3・11以後の現代日本文学における、いくつかの大震災に対する応答を検討する。
10月24日 (休講)
10月31日 【研究報告1】亀田真澄(現代文芸論)「転覆とノスタルジー―旧ユーゴ地域における現代文学の例から」
11月7日 【世界文学】David Damrosch, “Comparing the Incomparable: World Literature from Du Fu to Mishima.” 11月12日の国際シンポジウムのためにダムロッシュ氏が準備した論文を事前に読んでシンポジウムに備える。(テキストはファイルで配布)
報告者:杉浦清人(現代文芸論)
11月14日 (休講)
* 授業を補うものとして、11月12日(土)開催予定の国際シンポジウム「世界文学とは何か?」(14:00-18:30、一番大教室。特別ゲスト:David Damrosch, 池澤夏樹)に出席することを強く勧めます。有志には準備をお手伝いいただきたいと思います。
* 参考書籍 David Damrosch, How to Read World Literature (Wiley-Blackwell, 2009)の特に第三章 ”Reading Across Cultures”.
11月21日 【研究報告2】柾木貴之(総合文化)「翻訳作品の読み比べ-村上春樹の関連作品を中心に」*村上春樹訳『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン、あすなろ書房)の他、英語版『ノルウェイの森』、英語版『1Q84』を扱う予定。
11月28日 【研究報告3】徐暁紅(中文)「中国と日本におけるクヌート・ハムスンの受容」
*『ノーベル賞文学全集<4>』(主婦の友社、1971)所収のハムスン『飢え』などを参照のこと。
12月5日 *報告者を決めて、講読テキスト候補1か2のどちらかを読む(下記参照)。
報告者:未定
12月19日 【補講・特別講義】ゲスト:ツヴェタナ・クリステワ博士(ICU教授)「心づくしの日本語―和歌でよむ古代の思想」*参考図書:クリステワ先生著『心づくしの日本語―和歌でよむ古代の思想』ちくま新書、『涙の詩学―王朝文化の詩的言語』名古屋大学出版会。座談会「和歌研究への感謝と期待」(杉橋・クリステワ・渡部・沼野、『文学』2002年3・4月号)
1月16日 【特別講義(一般公開)】松浦寿輝氏(東京大学大学院総合文化研究科教授・作家・詩人・評論家)「波打ち際に生きる──研究と創作のはざまで」1番大教室、17:00-18:30
*東京大学退官特別記念講義:ヴァレリー、バルト、フーコー、ブルトン、折口信夫、エッフェル、マレー、萩原朔太郎、ゴダール、ヒッチコック、中江兆民……様々な固有名詞を経廻りながら、「或る一つの生」(ドゥルーズ)の輪郭を辿り直す。
1月23日 【特別講義】ゲスト:張競博士(明治大学教授)「内と外からみた日本近代文学」
*「芸術的散文としての小説」とは何か、という問題をめぐって、近代の日本作家の意識、およびその作品は欧米と日本でどのように評価されているか。参考図書:張競先生著『海を越える日本文学』ちくまプリマー新書、『異文化理解の落とし穴――中国・日本・アメリカ』。
1月30日 【研究報告4】(仮)村上春樹を様々な角度から見る(発表予定者:邵丹、メル・アラモなど)詳細はTBA.
2月6日 予備(試験期間だが、必要に応じて補講を行う。)
講読テキスト候補(マスターコピーは研究室に置いてあります)
①【オリジナルなき翻訳?】Emily Apter, “Translation with No Original: Scandals of Texual Reproduction”(Emily Apter, The Translation Zone, Princeton UP, 2006)を参照しながら、ピエール・ルイス「ビリティスの歌」、Rexroth「マリチコの愛の詩」、架空の詩人(?)ヤスサダ・アラキなどの例について考える。
②【比較文化―言語からのアプローチ】ポーランド出身の言語学者Anna Wierzbickaの通文化的比較語用論を手がかりにして、文化の相違を言語の観点から考える。Anna Wierzbicka, Cross-Cultural Pragmatics: The Semantics of Human Interaction (Mouton de Gruyter, 2003),特に Chapter 3: Cross-cultural pragmatics and different cultural values.
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