<特別講義/Special Lecture
講師:石野 裕子(常磐短期大学キャリア教養学科・准教授)

ヴァイナモイネンは誰なのか
——フィンランドの民族叙事詩カレワラKalevala)』解釈の変遷——

写真はAkseli Gallen-Kallela, Aino-taru, 1881,アクセリ・ガッレン=カッレラ作「アイノの物語」1881年


講義要旨:叙事詩『カレワラ』はフィンランドを代表する叙事詩であり、ロシア帝国統治下のフィンランドにおいて民族意識を鼓舞させた文芸作品として知られている。『カレワラ』は19世紀後半に全盛期を迎えた芸術運動「カレリアニズム」と連動した形でフィンランド内外に普及していったが、当初はフィンランド人知識人に受け入れられず、その受容には時間がかかった作品であった。また、『カレワラ』は口承詩を文字化した経緯、採集地の場所の問題などから様々な解釈がなされるなど、文学研究の枠を超えて研究がなされていった。本講義では、叙事詩『カレワラ』の編纂過程とその内容を概観した後、『カレワラ』が時代によってどのように解釈されてきたのかを、政治との関係を踏まえながら考察する。

入場無料、事前予約不要。専門的関心をお持ちの方のご来聴を歓迎します。


******** 講師紹介 ********

石野 裕子(いしの ゆうこ):常磐短期大学キャリア教養学科・准教授。2011年に津田塾大学大学院で博士号(国際関係学)取得。津田塾大学助教、研究員、金沢大学博士研究員を経て2014年4月から現職。専門はフィンランド近現代史、国際関係論。著書に『「大フィンランド」思想の誕生と変遷—叙事詩カレワラと知識人—』(岩波書店、2012年)、編著書に『フィンランドを知るための44章』(明石書店、2009年:百瀬宏氏と共編)、共訳書に『世界史のなかのフィンランドの歴史—フィンランド中学校近現代史教科書—』(明石書店、2011年:ハッリ・リンタ=アホ、マルヤーナ・ニエミ、パイヴィ・シルタラ=ケイナイネン、オッリ・レヒトネン著、百瀬宏監訳、高瀬愛氏と共訳)などがある。


日時:20141222(月) 午後440620

場所:東京大学文学部法文1号館3階319番教室(本郷キャンパス)

交通:地下鉄丸ノ内線・大江戸線「本郷3丁目」、南北線「東大前」などから徒歩10分。
住所:〒113-0033 東京都文京区本郷3-7-1


東京大学本郷キャンパス構内案内図(The Faculty of Law and Letters Bldg. No. 1)
東京大学本郷キャンパス構内案内図(The Faculty of Law and Letters Bldg. No. 1)

問い合わせ先

東京大学文学部現代文芸論研究室 tel & fax: 03-5841-7955

主催:東京大学大学院人文社会系研究科・文学部 現代文芸論研究室
共催:科研費「越境と変容—スラヴ・ユーラシア研究の新たなパラダイムを求めて」