主催 東京大学文学部現代文芸論研究室/大阪大学人間科学研究所GCOEプログラム

没後20年記念シンポジウム

失われた父を求めて
ダニロ・キシュ 収容所の詩学




 

 “ただ一人のユーゴスラヴィアの作家”——
 ダニロ・キシュ Danilo Kiš の文学は、人生から切り離すことができない。1953年、ユーゴスラヴィアとハンガリーとの国境の町スボティツァで、ユダヤ人の父とモンテネグロ人の母のあいだに生まれる。父はアウシュヴィッツに送られて消息を絶った。失われた父と少年時代をモティーフとする家族三部作——『庭、灰』、『若き日の哀しみ』、『砂時計』——で作家としての地位を確立。さらに、短篇集『ボリス・ダヴィドヴィチの墓』、『死者の百科事典』で世界的名声を博した。パリに移り住んでから10年後の1989年、追い求め続けた父と同じ54歳のときに、死を迎える。それは、また、帰属を表明していたユーゴスラヴィアの崩壊と時を同じくしていた。しかし、国家解体後、キシュの文学は、国内外でますます評価が高まっている。
 キシュ没後20年の今年、代表作の一つ『庭、灰』が、池澤夏樹=個人編集の世界文学全集(河出書房新社)の一冊におさめられた。家族三部作の日本語訳がでそろったことを記念し、『庭、灰』の訳者、山崎佳代子さんをお招きして日本で初めてとなるキシュのシンポジウムを行う。




日時20091121()/14:3017:30(開場14:00)

場所:東京大学 法文2号館22番大教室(本郷キャンパス)

入場無料、事前予約不要。満席の場合は立ち見をお願いすることもありますので、あらかじめご了承ください。

アクセス:地下鉄丸ノ内線・大江戸線「本郷三丁目」、南北線「東大前」下車、徒歩10分

東大構内案内図

法文2号館は、東大正門から徒歩2分。正門から安田講堂(時計台)に向かって直進、右側二つめの建物です。建物中央のアーケードからお入り下さい。



プログラム
14:30〜15:30 イントロダクション、解説
映像とともにたどるダニロ・キシュの生涯と作品 奥彩子
15:30〜15:45 休憩
15:45〜16:45 講演
森の美学 山崎佳代子
16:45〜17:30 討議と質疑応答
パネリスト 奥彩子、柴田元幸、沼野充義、山崎佳代子


山崎 佳代子やまざき かよこ
ベオグラード大学文学部教授。詩人、翻訳家。2003年、ベオグラード大学で博士号取得(博士論文『1920年代日本アヴァンギャルド詩の発展——セルビア文学との比較考察』)。著書に、詩集『鳥の為に』『産砂RODINA』『薔薇、見知らぬ国』、『秘やかな朝』『アトス、しずかな旅人』(いずれも書肆山田)、『そこから青い闇がささやき』(河出書房新社)。訳書に、キシュ『若き日の哀しみ』『死者の百科事典』(東京創元社)など。

奥 彩子おく あやこ
大阪大学人間科学研究科特任研究員。東欧文学。2008年、東京大学大学院総合文化研究科で博士号取得(博士論文『境界の作家ダニロ・キシュ—「ユーゴスラヴィア」から「中央ヨーロッパ」へ—』)。訳書に、キシュ『砂時計』(松籟社)。著書『境界の作家ダニロ・キシュ』(松籟社)を近刊予定。

柴田 元幸しばた もとゆき
東京大学文学部教授。現代文芸論/現代アメリカ文学。

沼野 充義ぬまの みつよし
東京大学文学部教授。現代文芸論/ロシア東欧文学。

  

 


問い合わせ先

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