国際卓越大学院人文社会系研究科
次世代育成プログラムの概要について

教育研究の目的と特徴

人の人たる所以の根源を問う人文社会系の学問は、時空間を俯瞰する立場から今ここにいる人と社会の在り方を相対化し、その意味を批判的に検証し続ける多様な諸分野の総体であると考えられます。本プログラムは、かつてない速度で変化し複雑化する現代の世界に柔軟に対応しつつ、人類の叡智を未来に継承し、人文社会系諸学の健全な発展に貢献し得る知を創出する人材の育成を目的としています。

上記目的を達成するため、本プログラムの特徴は次のような二層構造におけるイノベーションを組織化したものとなっています。第1の基層の充実では、専門分野特有の知の技法を進化・発展させる教育プログラムとして「学術活動課題演習」や早期国際化の機会等を設け、学術を世界的レベルで維持・継承する基礎を強化することを目指します。第2の交流・展開層においては、情報化が進み研究領域の境界がゆらぐなかで求められている学際的な視野と、新領域開拓への意欲と対応力を獲得するため、哲学・史学・文学や心理・社会の諸学を横断する講義や演習を充実させ新設します。人文社会系では既存のひとつの分野を卓越として高度化させるのではなく、上記の二層において諸学の多様性そのものを資源とした卓越性が指向されています。


各専門分野における期待される学生像

各専門分野において期待される学生像は次の表の通りです。応募の参考にしてください。

専門分野期待される学生像
言語学 人間(ヒトという種)に特有のあらゆる活動の基盤にある言語について、言語学(および隣接諸分野)が明らかにしてきた知見を深く正確に理解し、それに基づいて諸言語の現象を適切に分析することを通して、言語の(ひいては人間の)多様性と普遍性の解明に貢献しうる人材を養成することを目的とする。
考古学 理系諸科学と歴史科学の総合として始まった考古学は、近年理化学分析や情報科学等との密接な関係がより重要となり、高度の分野横断型で学際的な知識と能力の獲得が必須となった。さらに高い語学力に基づいた国際的な研究成果の発信能力も期待される。それらを兼ね備えることが次世代研究者には求められる。
美術史学 美術作品および造形一般に関し、熟覧調査に基づく優れた形態分析能力と文献史料の精確な読解能力とを兼ね備え、これらを統合した豊かな歴史像を描くことのできる人材。また、幅広い時代や地域に対する関心をもち、卓越した研究成果を国内外へ積極的に発信することも求められる。
哲学 哲学専門分野は、高度な語学能力、および原典・研究文献の読解力を身につけた上で、関連諸分野の研究にも積極的に目を向けながら、哲学の問題をきちんと立て、方法に則って自ら思考を展開できる能力と技法を培い、研究成果の国際的な発信について意欲的な学生を求める。
倫理学 倫理学専門分野は、倫理に関して、人間の認識・感情・意志という観点から、言語表現を通じて根源的に理解することを目指して教育・研究を行う。とりわけ卓越大学院学生に対しては、広い視野を獲得して、先端的な新領域を開拓して、真の意味で現代の諸問題の解決に寄与しうる人材たることを期待する。
宗教学宗教史学 研究対象となる文献を読解・分析する高い語学能力を身につけ、宗教学の方法論を習得すること、それをさらに発展させて独創的な研究を遂行し、研究成果を国内外に対して着実に発信できるようになることが期待される。
美学芸術学 人類文化における芸術活動および美意識の地位が、文明全般における「文化」の地位に相似である、という構造的事実を踏まえつつ、文明への自覚的認識と表現実践を先導し、人間的価値の創出への寄与、価値観の変動への対応、価値概念への反省など、多方面における文化的貢献のできる人材を養成する。
心理学 心理学の基礎的分野における優れた研究能力を備え、同時に広い視野に基づいて人間知に関する根源的理解をめざし、先端的な新領域の開拓、国際的な発信について意欲的であり、次世代を担う教育者や研究者となりうる人材。
日本語日本文学 日本語日本文学(国語学)
日本語研究の諸分野にわたる広い視野を持ち、専門とする分野では、緻密な資料分析の能力も地道に修練し、それをもとに、旧弊にとらわれず、大胆に自分の見解を主張するとともに、積極的に海外の学会、研究者とも交流できるだけの語学的能力も兼ね備え、国内のみならず海外の学界でも肩を並べられる研究者となりうる人材を求める。

日本語日本文学(国文学)
国文学研究に主体的かつ意欲的に取り組む姿勢を基本として、狭い領域に閉じこもらない広い視野をもち、従来の方法を大きく更新する独創的な研究を展開することによって、学界を主導する役割を担う人材を育成することを目標とする。
日本史学 国内における日本史学の成果を外国語で発信し、外国語による歴史研究の成果の一定の理解を前提に外国人研究者と学術交流し、その成果を国内に還元できる人材を育成する。そのため、日本語による水準の高い実証研究と外国語の能力を有し、その練成に積極的に取り組む学生が望まれる。
中国語中国文学 中国語学・中国文学の分野において専門的な知識や手法を十分に習得すると同時に、広い視野から専門分野の研究の役割や意義をとらえる力を涵養し、それによって専門分野のみならず、関連する人文学の諸分野において、未来に継承される新たな学知を生み出すことを目指す者。
東アジア思想文化 中国を中心とする東アジアの伝統文化に対して深く周到な基礎知識を有し、思想文献に重点を置きつつも経(儒教経典)・史(史伝)・子(諸学派)・集(詩文)の四部の伝統文献を偏りなく読みこなす能力をそなえ、東アジアの思惟に対する正確な理解を多方面に活用できる人。
インド文学・インド哲学・仏教学 南アジアから東アジアにわたる幅広い地域の精神的な文化に関心を深め、サンスクリット語、パーリ語、チベット語、古典漢語等の言語を十分に修得し、それぞれの地域に伝わった、それらの言語で記述された資料を正確に読解し、堅実な研究のできる人材の育成を目指す。さらには、それらの資料群を通じて現在に伝えられる思想及び実践を、現代的な視点から再構築できる能力を持ち、かつそれらの研究成果を、国内外に積極的に発信できる意欲的な研究者となることが理想である。
イスラム学 クルアーン解釈学、預言者伝承学をはじめとするイスラーム諸学についての正確な知識を習得したうえで、イスラーム諸学の分野において世界的に見て高水準の研究業績を上げ、イスラーム研究の発展・深化に寄与することのできる人材を求める。
アジア史 対象とする地域の歴史について深い理解をもち、それを広い文脈のなかで考察することにより、新たな学問的領域・手法を開拓し、国際的に学界を牽引していくことのできるような能力を有する教育者・研究者となることが強く期待される。
西洋古典学 人間とは何かという根本問題に対して、古代ギリシア人とローマ人が残したものと、それに関する後世の人々の考察、これ以外のことには目を瞑って思考できる学生を求めています。その成果を博士論文の形でまとめてデフェンスできたならば、専門の領域でもそれ以外の領域でも相手に負けることはありません。
フランス語
フランス文学
フランス語フランス文学の分野において、原典・資料の緻密な読解力および卓越したフランス語運用能力を備え、国際的水準において活躍できる人材を育成するとともに、専門的な知見に立脚しつつ分野を超えた文化活動を展開できるような、次世代を担う人材の養成を目的とする。
南欧語南欧文学 イタリアの言語と文学に関する堅実な知識と明確な問題意識を基礎として、資料や文献を精査し、得られた情報を論理的に組み立て、説得的に自説を表現すること。この目標の達成を目指すとともに、歴史社会的背景やロマンス諸語等にも旺盛な関心を抱く学生を求める。
英語英米文学 英文研究室では、文学・言語のセンスをみがきながら熱意を持って課題に取り組むとともに、自らの考えを英語で表現していくのが普通のことだと思えるようになることを期待します。
ドイツ語ドイツ文学 ドイツ語ドイツ文学の学習・研究は、何よりもドイツ語の精緻な読解力に基づくものである。地道な努力を厭わず、できるだけ多くの優れた、そして含蓄の深い文章に触れて欲しい。そして同時に、様々な分野に対する知的関心を持ち続け、自分の思考の力を鍛え上げることに喜びを見出して欲しい。
スラヴ語スラヴ文学 多様性に富んだスラヴ世界の言語文化研究において、積極的にさまざまな言語を学び、文献読解、幅広い知識の習得およびグローバルな文脈で問いを立てる能力に優れた研究者を育成する。異なる研究領域についても関心を持ち、国際的な研究ネットワークに参画し、積極的に議論を進め、新たな研究の発展に貢献するようになることを目指すことが期待される。
現代文芸論 欧米の近代を中心に複数の言語を用いて、世界の文学を広い現代的な観点から研究を自律的に進め、国際的な発信について意欲的で、次世代の文学研究を担いうる者。
西洋史学 本専門分野は、鋭い問題意識にもとづき、原史料の広範かつ着実な調査を踏まえ、明晰な論理構成に支えられた研究を遂行することで、西洋史学における新知見を生み出し、またその成果を国際的に発信できる力量を備えた学生を養成する。
社会学 社会学専門分野において期待されるのは、現実社会の諸問題に対し、経験的調査の手法と理論的な分析方法によって、既存の枠組みを越えた斬新なものの見方ができる学生である。社会学的研究の最前線に立って学問的、社会的に活躍できる人材を求める。
社会心理学 社会心理学領域に関する高度に専門的な知識と研究遂行能力を保持するとともに、人文学、社会科学、工学、自然科学諸領域の研究者や実業界とも連携して、先端的な学問領域を開拓し、その成果の国際的発信や社会還元に積極的に取り組む研究者・実務家として活躍できる人材。
文化資源学
文化経営学
文化資料体(文献資料、歴史資料、美術資料、考古学資料、文化調査資料、文化統計資料等)に関する分野横断的な研究能力を備え、博物館、美術館、劇場など文化関連諸機関との協力関係を積極的にリードしながら、文化資源の開拓や発展を推進できる人材を育成する。
韓国朝鮮歴史文化
韓国朝鮮言語社会
過去から現在に至る韓国朝鮮文化および周辺地域との交流について各自の学問分野の方法論を創造的に用いて探求するとともに,当該学問分野のみならず関連する諸分野の方法論を複合的に用いて新たな韓国朝鮮学の学問体系を定立し,韓国朝鮮学の研究の発展に寄与することのできる人材を育成する。

学・修・博連携のしくみ

本プログラムは、学部課程・修士課程・博士課程連携を枠組みとしています。

学部プログラムにおいては、特定の大学院科目の履修を奨励し(詳しくは学部プログラム募集要項を参照してください)、修士課程進学後に一定の範囲内で単位が認定されることになります。これは、学部在学中から研究への関心を高めること、学部時代に先取りした大学院の単位を「貯金」として、卓越修士課程プログラムの履修を容易にすることを狙ったものです。

修士課程プログラムでは、「学術活動課題演習」が必修化されています。通常は博士課程進学後に行われる学外における学術活動を修士課程に前倒しして行うことにより、修・博連携による効率的な研究能力向上を目指す意味合いを持たせています。博士課程進学に際して、日本学術振興会特別研究員(DC1)への応募を義務付けていることも、同様の意味があります。

プログラムは、学・修・博それぞれのプログラムを全て履修することを原則としていますが、学部プログラム未履修者が修士課程プログラムに応募できる特別枠(定員2名)を用意しています。応募資格や応募方法等の詳細は募集要項を参照してください。