開催日 2015年12月2日

文学部心理学研究室では,第29, 30回心理学研究室セミナーとして以下のような講演会を開催しますので,ふるってご参加下さい。なお,講演内容は大学院生以上を想定しております。

 

 

第29回心理学研究室セミナー

 

日時 2015年 12月2日 午後5時から

場所 法文1号館1階113教室

 

【講師】 北城圭一(理化学研究所)

【演題】 ヒトの脳活動の非線形ダイナミクスの機能的役割の因果的検証


【要旨】 脳は非線形な素子が多数結合した非線形力学系とみなすことができる。我々はヒトの脳活動の非線形ダイナミクス、特に脳波でみられるリズミックな振動と大域 的な位相同期の機能的役割の解明を試みている。本トークでは脳の振動同期ダイナミクスの研究の動向を概説し、脳の振動同期ダイナミクスの知覚、注意等の脳 情報処理における機能的な役割について報告する。また経頭蓋磁気刺激、経頭蓋電気刺激と脳波計測を組み合わせた手法による脳波非線形ダイナミクスへの干渉 と制御による機能的、因果的役割の検証結果について紹介をする。

 

 

第30回心理学研究室セミナー

 

日時 2015年 12月9日 午後5時から

場所 法文1号館1階113教室

 

【講師】 山田真希子(放射線医学総合研究所)

【演題】 ポジティブ錯覚の脳内機構


【要旨】 私たちの思考は、偏ったものの見方や思い込みなど「認知バイアス(偏り)」が生じやすい。特に、自分自身に対しては、概して自分に都合の良い解釈を行う傾向があり、「ポジティブ錯覚」と呼ばる認知バイアスを持つ。ポジティブ錯覚は未来への希望につながることから、こころの健康に重要な役割を果たすと考えられており、うつ病患者は自分について現実的な捉え方をすることが知られている(抑うつの現実主義)。陽電子放射断層撮影装置(Positron Emission Tomography:PET)と機能的脳画像(functional Magnetic Resonance Imaging:fMRI)を用いて、健常者のポジティブ錯覚が脳内で生じる仕組みについて解説し、絶望感、潜在的自己意識との関連を議論する。さらに、うつ病患者におけるポジティブ錯覚の脳病態メカニズムを考察する。