PDFファイルについて

PDFファイルの閲覧・印刷にはAdobe Reader(無償)が必要です。
お持ちでない方は、下記よりダウンロードして下さい。
Adobe Reader ダウンロード

人工的水分・栄養補給をめぐって:研究成果

「高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン
 ―人工的水分・栄養補給の導入を中心として」

日本老年学会理事会の合意を背景に、日本老年医学会が実施主体となって平成22年度および23年度に、高齢者が経口摂取困難になった場合の人工的水分・栄養補給をどうするかをめぐるガイドライン作成に向けた研究をしました(より詳しくは、以下の「研究経過」の項参照)。その結果、平成24年3月にガイドラインのワーキンググループ案を発表するに到りました。
本臨床倫理プロジェクトの清水哲郎と会田薫子はこのガイドライン作成のための研究マネジメントを引き受け、ワーキンググループのメンバーとして起草と推敲を担当しました。ガイドライン案には臨床倫理プロジェクトのいくつかの考え方が採択されています。

ガイドラインのワーキンググループ案は、その後日本老年医学会の審議を経て、微細な変更を加えた上で、同年6月に同学会のガイドラインとして承認されました。
本ガイドラインは、〔日本老年医学会のホームページ〕からダウンロードできます。
また、読み易いレイアウトで出版されています。>> 〔ガイドライン書籍案内〕 


清水・会田著「高齢者ケアと人工栄養を考える
 ―本人・家族のための意思決定プロセスノート」

本書は、臨床倫理学における意思決定プロセスと人のいのちの理解についての清水哲郎の理論および高齢者ケアにおける人工的水分・栄養補給法に関する日本の臨床現場の医療者の意識と実践についての会田薫子の調査研究を基礎にして作成し、臨床現場で高齢者ケアを実践する佐藤伸彦医師(ナラティブホーム)・桑田美代子看護師(CNS/青梅慶友病院)のアドバイス、および老人看護専門看護師32名のコメントをはじめとして、多くの方たちの協力を得て改訂を重ねてきたものです。作成および改訂の経過については、以下の「研究経過」の項をご参照ください。

本書は、日本老年医学会の上記ガイドラインに準拠して作られています。ガイドラインは医療・介護従事者に意思決定プロセスをどう進めていくかについての指針を提示するものですが、本プロセスノートは、自分のこととして、あるいは家族のこととして考え、どうするか選ばなければならない方たちが、納得の行く選択をしていただけるように支援するものです。
>> 〔プロセスノート書籍案内〕 

○医療・介護従事者の皆さまが、本人・家族とご一緒にどうするかを考える場面で、本書を活用していただけると、お互いに納得の行く合意に達することができるのではないかと思います。使ってみていただければ幸いです。
○ご使用の結果のご感想・ご意見を下記の連絡先までお寄せください。よりよいものへと改訂する際の参考にさせていただきたいと思っております。


これまでの研究経過

○会田による、高齢者ケアに携わる医師の聞き取り調査
 研究成果 >> 会田薫子『延命医療と臨床現場―人工呼吸器と胃ろうの医療倫理学』(東大出版会)

○日本老年医学会平成22年度老人保健健康増進等事業「認知症末期患者に対する人工的な栄養・水分補給法の導入・差し控え・中止に関するガイドライン作成へ向けた検討」(代表 大内尉義)において、会田は研究全体のマネジメントを行い、かつ関係者の意識調査を行うワーキンググループの中心となって、日本老年医学会の医師への大規模な意識調査を実施した。清水は本事業全体のコントロールをおこなう検討委員会に所属(2010年度)。

○臨床倫理プロジェクトの新たな取り組みとして、清水は本人・家族の意思決定プロセスを支援するツール 《本人・家族の意思決定プロセスノート》の開発に着手し、まずはいろいろな場面に共通して使える 「汎用版」を試作した(2010年秋)。

○『食べられなくなったらどうしますか ― 本人と家族のための意思決定プロセスノート― 』2011年2月刊: 調査活動と並行して、『臨床倫理・意思決定支援ツール』作成ワーキング・グループ(清水・会田)により試行版を作成した。これは上記「本人・家族の意思決定プロセスノート(汎用版)」を高齢者が食べられなくなった場面に特化したものである。

○『高齢者ケアと人工栄養を考える―本人・家族の選択のために』2011年8 月刊:勇美記念財団2010 年度在宅医療助成事業「認知症末期患者に対する胃瘻栄養法等の導入について― 患者家族のための『意思決定支援ツール』の開発と発信―」研究班(研究代表者 会田薫子)により改訂した。

○日本老年医学会平成23年度老人保健健康増進等事業「高齢者の摂食嚥下障害に対する人工的な水分・栄養補給法の導入をめぐる意思決定プロセスの整備とガイドライン作成」(代表 大内尉義)のマネジメントを引き受けると共に、清水と会田はガイドライン案作成ワーキンググループに参加して(まとめ役:清水)同案作成を行った(2012年3月発表)。


○『高齢者ケアと人工栄養を考える―本人・家族の選択のために』(改訂第二版)2012年3月刊:ガイドライン作成と並行して、『意思決定支援ツール』作成ワーキング・グループ(清水・会田)として改訂版を作成した。

○『高齢者ケアと人工栄養を考える―本人・家族のための意思決定プロセスノート』2013年2月刊:平成24年度日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究(A))「ケア現場の意思決定プロセスを支援する臨床倫理検討システムの展開と有効性の検証」(研究代表者 清水哲郎) により、老人看護専門看護師(CNS)グループをはじめとする臨床現場の方たちの協力を得て、改訂第3版として刊行した。この改訂第3版を、問題に直面しておられるご本人・ご家族および医療・介護従事者の皆さまに使っていただけるようにと、一般書籍として上梓したものが、上記の書籍である。


現在の取り組み

研究開発プロジェクト《高齢者ケアにおける意思決定を支える文化の創成》(2012年度後半〜2015年度前半)

独立行政法人科学技術振興機構JST 社会技術開発センターRISTEXからの受託研究です。



連絡先
臨床倫理プロジェクト 高齢者ケア研究グループ
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学大学院人文社会系研究科 死生学・応用倫理センター 上廣講座
e-mail:dalsjp[at]l.u-tokyo.ac.j  *[at]を@に入れ替えてお送りください。 fax:03-5841-0259

ページTOPへ