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概要

東京大学文学部

専修課程哲学研究室基礎文化哲学研究室は、西洋哲学の主に文献研究を通して、哲学することを学び、実践する場です。少し具体的に言えば、プラトン、カント、ウィトゲンシュタインといった哲学史上の大きな哲学者の文献読解をもとにしながら、自ら哲学することを学び、最終的には自らの哲学を形成することを目指します。このように言うと、過去の哲学を学ぶことにどのような意味があるのか、自ら哲学することを学ぶことが目標であるなら、数百年さらには数千年も前の古びた文献を苦労して読解するよりは、素手で哲学することを目指す方がてっとり早いのではないか、という疑問が投げ掛けられるでしょう。どんな学問でも過去の蓄積や遺産を踏まえることが大事であるというのが、通常の答えですが、哲学の場合には異なった事情があります。人類はどの地域においても神話的思考や「科学」的思考を形成してきましたが、哲学は2600年ほど前に古代ギリシアにおいて一度限り創設された独特な知的活動です。この独特な知的活動は、歴史を通じて廃れることなく、様々な変貌を遂げながら、現在でも文字通り多様な成果を生み出しつつあります。さて、その活動の独特さは、対象によって定まるものではなく―敢えて言えば、哲学はどんな事象をも対象とすることができます―、その活動の内容を一義的に規定することも困難で―例えばですが、現代英米の分析哲学と現代フランスのドゥルーズの哲学とを比べた場合に、そのスタイルを含めて共通性を見出すことは難しい―、あれこれの哲学の間に進歩や優劣を決めることもできまフェノロサ(1853~1908)、1878~1885年の間、本研究室で哲学を講じた。ある演習風景せん。しかしながら、それらが、神話的思考とも「科学」的思考とも異なる、哲学的としか言いようのない手法のもと、哲学的概念を素材として駆使することによる独特な知的活動であることもまた事実です。この独特な活動の独特さを身をもって学び、自らもまた哲学することが出来るようになること、これが、まずは哲学研究室における教育の目的です。この目的を実現するためには、出来合いのマニュアルを頼りにするよりは、―優れた絵画を模写したり、優れた演奏をコピーするように―哲学という独特な知的活動を体現した哲学者たちの実践を共にするという仕方で、哲学の現場に飛び込むこと、そして、哲学の手法とその素材である哲学的概念を身につけることが何よりも大切です。その先に、本研究室に身を置き、自ら哲学することを試みて大きな思索を繰り広げた西田幾多郎から坂部恵に至るまでの先達者のように自らの哲学を形成する途が開かれています。幅広い哲学の領域をカヴァーする私たち教員は、その手助けをしたいと考えています。(卒業後の進路に関しては、学生諸君の努力の賜物ですが、哲学専修卒業という肩書が不利になったという報告は一切受けていない、ということだけ付記します。)中国思想文化学研究室アジア文化中国思想文化学研究室の起源は、1877(明治10)年、東京大学創キリスト教布教史、風水思想などが、近年の教員・学生たちの取り組設とともに文学部に置かれた和漢文学科に遡ります。ですので、当研むテーマです。中国思想文化学研究室は、学問的に意味があると学究室は東京大学と同じく130年を超える長い歴史があります。その後生が信じる研究テーマであれば、ほぼ全てのテーマの研究が許容され「支那哲学」となり、戦後の1946年以来長く「中国哲学」研究室とい奨励される、とても開かれた研究室であるといえます。う名称を名乗ってきましたが、1994年に「中国思想文化学」研究室に研究室は比較的小規模なので、教員と学生、学生同士の交流は盛変更しました。んです。またアジア各地からの留学生も多く、共同研究室にいると様々皆さんは「中国哲学」という名称からどんなことを想像するでしょうな言語や異国の考え方に接することになります。研究材料となる漢籍か。多くの方は、『論語』や『孟子』、『老子』や『荘子』などの中国古典を、文献は至近距離に豊富に備えてあり、利用環境は日本一と言っても過長く蓄積されてきた注釈史の成果を丹念に踏まえつつ解読する、いさ言ではありません。卒業後の進路は大学院進学と就職が半々で、就職さか時代の流れからかけ離れた学問というイメージなどを持っているを選んだ先輩はアジア各国と深く関わる企業で活躍しています。漢字かもしれません。中国古典は、汲めども尽きない魅力に満ちた人類の文化圏に生まれ育ったみなさんが、自分あるいは自分たちの問題を深重要な知的遺産であり、21世紀に生きるわたしたちが正面から挑戦すく考えようとした時、われわれが蓄積してきた知見や、われわれが築いる価値のあるテキストであると、わたしたちは考えています。しかし一てきた学習環境を是非とも役立てて欲しいと願っています。方、明治以降の近代的な学術手法で得られた新たな情報や知見を踏まえて中国古典に向かい合うとき、中国古典はそれまでと違った表情をわたしたちに示し始めます。わたしたちは、さまざまな学問分野の最新の成果を大胆に吸収しつつ、これまで隠されてきた中国古典の魅力を再発見したいと考えています。そのために、「中国哲学」に替えて「中国思想文化学」という名称を使うことにしたのです。以来、研究対象はたいへん多様化しました。例えば王権論や道教の修行法、文献学、共同研究室の様子『朱子語類』などの所蔵漢籍の一端05