ブックタイトル東京大学文学部_2018

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概要

東京大学文学部_2018

文学部生かく学び、かく思う美術史学専修課程4年(2016年現在)氷見野夏子さん「なぜ文学部を志望したのだろう?」「その研究テーマを選んだ理由は何だろう?」「文学部で学ぶことの楽しさはどこにあるのだろう?」に3専修課程で古代ロ一マ美術の魅力を知る小さい頃から絵を見たり描いたりするのが大好きで、一時期は美大を志望していました。最終的に実作ではなく研究の道を選択しましたが、東大へ入学した時点で文学部へ進むことを決めていたわけではありません。前期課程(教養学部)で、さまざまな科目を学ぶうちに、やっぱり美術しかないという自分の気持ちがはっきりして、文学部美術史学専修課程を志望しました。自分のやりたいことが明確に決まつていなくても、必ず打ち込める対象に出会えるのが東大のいいところだと思います。いま、私が専門に研究している古代ロ一マの美術も、専修課程に進んでから面臼さに気付いて研究テーマとして選びました。古代ロ一マの絵画は、植物の葉や影まで細密に描かれているのに、奥行きの表現がないため、写実的に見えない不思議さがあります。住宅の壁に描かれているものが多く、日本ではなかなか実物を見る機会がないため、卒論のためにロ一マと上海に展覧会を見に行きました。作品と直に向き合うことは、自分が古代ロ一マの絵画に惹かれる理由を解明することに繋がるんですね。幅広い視野と体験が新たな発見を生む専修課程で学ぶ前に気がかりだったのは、専門性の高い限られた分野について研究するために、自分の視野が狭くなってしまうことです。でも、それは私の思い違いでした。美術史学専修課程で学ぶ中で、限られた対象を追求するには、幅広い興味と視野が求められることを知りました。古代ロ一マの美術も、後世の西洋美術や東洋美術と比較すれば、今までと違う新しい視点から眺められます。自分が興味をもって追求するテーマが固まったことで、今までバラバラだった知識がひとっに繋がっていくのです。ょく友人と小旅行を兼ねて地方の美術館や展覧会に行きますが、奈良で見た信貴山縁起絵巻も、京都で見た禅宗の美も、新たな発見をもたらしてくれます。3年次の冬に英国で実施された「文学部冬期特別プログラム」に参加したことも、貴重な経験でした。これは、文学部と英国のセインズベリー日本藝術研究所が連携して行う約2週間のプログラムです。発掘が進められているマストファーム遺跡で調査の様子を間近に見たことと、大英博物館で古代ローマよりさらに古い先史時代の遺跡に触れたことが最大の収穫でした。真の価値を問い続けるために大学院へ文学部には個性的な人が多く、同期や先輩からも刺激を受けています。専門外の話題についても、ここに面白さがあるのか!と理解するようになりました。これは、洋の東西や時代を越えて幅広い知識と視野を備えた先生方の影響が大きいと思います。私が大学院へ進むことを決意したのも、先生にお借りした一冊の本がきっかけでした。イタリア語で書かれた美術の専門書を3年の冬休みに苦労しながら読破して、もっと勉強したい、研究を続けたいという気持ちが大きく膨らんだのです。少し前までは、文学部で自分の好きな研究をしても実社会の役には立たないかもしれないと考えていました。でも今は、研究を通じ人類の普遍的な価値は何かを考えることが、人が何を目指して行動すべきか迷った時の羅針盤を作るのではないかと思っています。文学部での学びは、そういう形で社会に貢献しうるのだと信じています。文学部冬期プログラム中、ロンドン街歩きゼミの研修旅行:京都・奈良日帰り旅行:絵巻の舞台を訪ねて信貴山中で猿沢池前で氷見野夏子英語ルネサンス美術の世界中国絵画史さんの中近世ドイツ美術史:博物館展示論時間割博物館教育論一絵巻ゼミ1800年頃のドイツ美循美箭史の再考絵巻ゼミ・ヨ一ロッパ建築文化論・イタリア語初級(3年次)