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概要

東京大学文学部

専修課程日本文化日本語日本文学(国文学)研究室国文学研究では、日本の古代から近現代までの様々な文献を「読む」ことが基本です。言葉を読んで文脈を理解し、その背後にある人々の営みに想像を馳せる、心理を推察する、その時代の文化を理解するなどが課題です。時には歴史や思想や宗教、歌謡・能・歌舞伎・近代演劇などの芸能、絵巻や絵画などにまで研究対象が広がることもあります。高校までの学習では問題に対して正解が一つであったのに対して、大学での研究には唯一無二の正解はありません。優れた見解であれば数十年にわたる通説が覆され、新たな説が支持されることもあり得ます。それは高校までの「国語」では経験し切れなかった、大学での「文学研究」の醍醐味です。そのためには活字になる前の姿である写本や版本や作家の草稿から辿り直す場合もあります。国文学研究室には文化財とも言えるレベルの数百年前の写本や版本が所蔵されています。これらに直に触れて、活字の文献からは読み取れない情報を探るのも一つの方法です。そのほか文学を批評するための多様な方法論を学ぶこともできます。肉、刺身、野菜に違った包丁を使うことで素材のうま味が生きるように、分析対象にふさわしい批評の方法を用いるのです。そして自らの目で確かめて事の真偽を判断し、思考をめぐらして論理を組み立て、新しい見解を提案していきます。国文学研究室には、上代・中古・中世・近世・近現代の時代ごとに研究教育を担当する教員と時代を超えて特定のジャンルを担当する教員がいます。演習(ゼミ)演習風景は各教員が担当、学生たちが課題のために多様な本文・注釈・研究書などを読み比べて諸説の妥当性を吟味して研究発表し、仲間たちと議論します。卒業論文は学生各自が自由にテーマを決め、教員の助言を得ながら自主的に進めます。大学院生による研究指導もありますし、世界各国からの留学生との交流などの機会も豊富ですから、おのずから学ぶことも多いでしょう。卒業生は大学院に進学して研究の専門家を目指す人も多い一方、公務員・民間企業・マスコミ・出版社・中高の国語教員など多様な分野に巣立ちます。国文学専修課程で鍛えた文章を読む力、書く力、文献批判や口頭発表や議論の力は、いかなる分野の社会人にとってもほんとうの意味での実力となるということは、多くの卒業生が語っているところです。国文学研究を通して私たちとご一緒に、知性と感性を磨いてみようではありませんか。研究室旅行アジア文化中国語中国文学研究室研究室紹介にあたって、まず全員が共通の関心としている「中国語」について考えてみましょう。世界中で最も使用者の多い言語の一つであることはよく知られています。ではいつ頃から使用されてきたのでしょうか?実は遡ること紀元前から現在まで、様々に変化しながらも数千年間使用されてきた言語なのです。多くの古代言語は民族の移動や衰退とともに、消滅してしまいましたが、中国語は周辺諸地域に長い年月にわたって伝播しつつ、その文字である漢字を広く流通させ研究室の窓から(5月の銀杏並木)ある日の中文研究室(授業前の風景)て今日にまで至っています。歴史的に極めてユニークな言語と言えるでしょう。中文研究室では、この東アジア全域に広がる漢字流通圏を主要なフィールドに、「中国語学」「中国文学」に軸足を置きながら様々な分野との境界に分け入り、意欲的に学問の地平を広げています。といっても、全員が最初からそんなに難しいことを考えていたわけではありません。実際に所属している学生にそもそも中文にきたきっかけを聞いてみますと、「中国映画に興味があった。」とか、「高校の漢文の授業で勉強した項羽と劉邦とかが結構好きだった。」「三国志ゲームにはまって……」など、なんとなく自分の生活に入り込んでいる中国的要素について「ちょっと考えてみたい」と思ったという声が目立ちます。中国語圏からの留学生は、ちょうど反対で、現在中国文化の中にある日本の影響に関心を持ち、もっと知りたいと思って来たという人が多くいます。このように考えると中文研究室は「日中の文化について言語を通して考える人たち」が集まっている場所とも言えるでしょう。そうして集まった人たちは、各自の興味にあわせて、映画・ドラマ、小説、古典詩文、古代文字、古代中国語文法等、同時代から紀元前に遡るあらゆる資料をまずは「正確に読む」ことから学びはじめます。そのスタイルは創設当初から一貫して変わりません。ところで中文研究室は現在、赤門を入ってすぐ南側の赤門総合研究棟七階にあります。広くて居心地がいいと学生からも好評です。窓からは赤門前の銀杏並木が見え、古典好きなら覗いてみたい「漢籍コーナー」(清朝末年までの漢籍を手にとって見られます)は、建物の一階下にあります。デジタル化は中国古典籍分野の研究スタイルも一変させていますが、今では古典研究に不可欠な様々な漢籍データベース、論文検索システムも利用できます。色々な意味で中国研究には好立地です。12