ペルシア語文書研究会  京都大学文学部羽田記念館共催
 日時:2000年12月2日(土)
 場所:京都大学文学部羽田記念館

報告1:Christoph Werner(バンベルク大学)
 " Merchants' Testaments: Vasiyatnames as a Source on Religious Life in Late
19th Century Iran"

イランのワクフ庁テヘラン支部に所蔵されている未公刊の3通の遺言状に基づき、19
世紀後半のタブリーズの3人の商人の宗教生活、および社会経済的背景を明らかにし
た。従来、これらの遺言状が本格的に分析されたことはなく、また、これらの遺言状
以外に、中産階級上部に属すると考えられる商人についての情報を得るすべはない。
彼らの遺言状は極めて実際的なものであり、葬儀の費用、5分の1税等の支出すべき
金額が書かれている。従来の家族ワクフと非常に近い関係にあることが指摘された。

報告2:Assam Urunbaev (ウズベキスタン東洋学研究所)
「『自筆書簡集(Majmu`a-yi Murasalat)』にみえる各種税制用語─15世紀ホラー
サーンの税制におけるそれらの意味について─」(ロシア語、通訳あり)

15世紀の文人ジャーミーの書簡集は、別名ナヴァーイー・アルバムと呼ばれるもの
で、ティムール朝の宰相アリー・シール・ナヴァーイーが受け取ったジャーミーの自
筆の書簡を冊子にして保管したものである。ジャーミーは文学者、思想家として高名
であるが、当時のティムール朝の高官の尊敬をもあつめていたため、生活上の問題を
抱えた人々に、官僚への取りなし、口利きを依頼される場合が多く、税制に関しても
豊富な内容を含んでいる。税の術語をまず、単独の税と税の集合に分類し、さらに単
独の税をイスラーム法で認められている正税と認められていない税に分類し、一つ一
つの術語に詳細な解説を加えた。