「大域地域空間分析」グループ



研究課題:リモートセンシングデータを用いた土地被覆変化の解析



研究分担者一覧

 岡部 篤行 東京大学工学系研究科 教授
 「地理情報システムによるイスラーム地域研究」班総括
 水島 司 東京大学人文社会系研究科 教授
 時空間データの収集と解析
 桜井由躬雄 東京大学人文社会系研究科 教授
 現地調査による土地被覆情報の取得と分析
 柴崎 亮介 東京大学空間情報科学研究センター 教授
 リモートセンシングデータからの土地被覆パターン抽出
 貞広 幸雄 東京大学空間情報科学研究センター 助教授
 RS時空間データの解析


研究計画

 本グループは,イスラーム地域における時系列リモートセンシングデータを利用し,土地被覆パターンの変化をマクロ及びミクロな視点から分析する.従来,イスラーム地域における空間的現象の研究では,現地調査と観察,聞き取り調査,紙の地図などが基盤情報として利用されてきた.しかしながら,これらの情報を取得するには莫大な時間と費用を要し,また,得られる情報の信頼性も不安定である.本研究では,リモートセンシングデータに基づく地理情報システムを活用することで,これらの問題点を解決しようと試みる.
 具体的な研究内容は以下の通りである.研究対象地域としては,イスラーム地域の中から気候という点で特色を持つ複数地域を選定し,そこからさらに100km四方程度の範囲を抽出する.これらの地域について,解像度8kmのNOAAデータ,解像度30mのLANDSATデータ,及び,解像度3m及び1mの高解像度衛星データを取得し,それらを土地被覆データに変換,地理情報システムによって処理と分析を行う.分析手法については,まず位相関係同士の関係を表現するための新しい空間関係記述手法を開発し,土地被覆パターンの時系列的変化を明示的に記述する.次に,従来の空間統計手法に時間の概念を取り込んだ新しい時空間統計手法を開発し,土地被覆パターンの変化における統計的有意性の検討を行う.さらに,二つ以上の時空間分布が与えられた場合に,それらの関係を統計的に分析する手法についても検討し,土地被覆変化をもたらす要因の推定と抽出を行う.これら3つの手法を,上述の複数解像度を持つ土地被覆データに適用することで,イスラーム地域における土地被覆変化を定量的に記述,分析することが可能となる.
 これらの研究のうち,本年度は分析のための基礎的データ整備と技術習得を行う.具体的にはまず,画像工学・リモートセンシング分野において既に研究されている画像処理・解析手法をレビューし,リモートセンシングからの土地被覆パターン抽出手法を開発する.また,実際にサンプル用NOAAデータを取得し,そこから土地被覆パターンを抽出するための技術修得,及び,今後の研究において必要となる基礎データの整備を行う.来年度以降は,土地被覆パターン解析手法の開発とリモートセンシングデータの取得を並行して実施し,平成10年度以降は分析結果の発表を行う予定である.