第5回中央アジア研究セミナー

日時:1999年3月13日(土) 14:30〜17:00
場所:東京大学文学部アネックス2階小会議室
講演者:Dr.Reinhard EISENER(バンベルク大学研究員)
テーマ:Research on the Sovietization of Central Asia

 アイゼナー氏は、ドイツにおける数少ない中央アジア現代史の研究者であり、現 在は、1920年のブハラ革命にかんする博士論文を執筆中である。今回の講演は、 中央アジア史・西アジア史を専攻する日本の大学院生と新プロ外国人特別研究員 のStephane DUDOIGNON氏を前に、対話を取り入れた形式で行われた。自己紹介に よれば、氏ははじめウマイヤ朝カリフの歴史にかんする文献学的な研究に取り組 んで博士号を取得し、その後ソヴィエト革命後のタジキスタンの形成にかんする プロジェクトに加わったことを機会に、中央アジア現代史に研究テーマを変更さ れたという。講演では、中央アジア史研究のもつさまざまなむずかしさ、多彩な 言語習得の必要性、史料の未整理や研究の手薄な現状、真の専門研究者の少なさ などの指摘から始まり、かの有名なハディース「学問は中国にあろうとも、これ を求めよ」のひそみにならって、広く史料の探索に励み、外国の研究者との交流 を求める開拓精神の大切さに及んだ。この間、とくに興味深かったのは、ペレス トロイカの時代に氏がモスクワなどの図書館や文書館で蓄えたアルヒーフ史料に かんする知見や悲喜こもごもの体験談であった。全体として氏の講演は、日本の 若手研究者にたいする激励の意味をもつものであり、近い将来日本からもアル ヒーフ史料を駆使した研究が現れることを期待したい。
(文責:小松久男)

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