「第6回中央アジア研究セミナー」
1-b第1回研究会
≪中央アジアの国際関係≫報告
報告者:坂井弘紀
"ECO (Economic Cooperation Organization)
and Islamic Factors in Central Asian Politics"
1-bでは今年度から中央アジアの国際関係を一つの焦点として研究していますが、その第1回目の研究会が先日、開催されました。以下にその研究会について報告をします。
(1)日時:5月15日(土)14:30〜17:00
(2)場所:東京大学文学部アネックス2階会議室
(3)内容報告
本研究会は、北海道大学スラブ研究センターに4月27日から5月20日まで
私費滞在していたMd. Ahsan Maimul Khan(ダッカ大学法学部長)氏による「ECOと中
央アジア政治におけるイスラーム・ファクター」("ECO
(Economic Cooperation Organization) and Islamic
Factors in Central Asian Politics")という題目の英語による報告を中心に行われた。
カン氏は、ECOについて概説した後、ECOとイスラーム的要素との関連性、ECOへのイランとトルコのアプローチ、NIS諸国における民族的・宗教的要素、イスラーム諸国の核兵器の希求、CISのECOへの対応における成否、ECOの組織と行動といった観点からECOに関する諸問題について論じた。
報告のあと、研究会参加者から、ECOの組織としての役割や具体的な機能性、中央アジア
諸国におけるCISとECOの役割の相違などについての意見や質問が出され、活発な議論が行われた。中央アジアの「南」からの視点は、日本の中央アジア研究において、一般的にはあまり重視されていないため、その意味からもたいへん有意義な報告であった。
カン氏の報告についで、1-b班の研究協力者の紹介と今後の中央アジア・
国際関係に関する研究についての打ち合わせが行われた。
☆
Khan氏は1954年生まれ。ルムンバ大学(モスクワ)卒業、タシケント大学でPh.D.
(kandidat)を取得。イスラーム基金(英国)研究員などを経て、ダッカ大学助教授、
法学部長。
ベンガル語で論文・著書・新聞コラムを多数執筆している。英語での著書・論文には、Huntington's
Civilizational Issues and Morality
in Law、
"The Former Soviet Republics:Constitutionalism
and Nationality Policies"、
"Muslim Education in Tsarist and
Soviet
Russia"、
"The Earliest documents of the
Muslim States:A Legal
Philosophy"。
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