Central Asian Research Series No.2


 中央アジア研究ネットワークでは、近現代史に関する重要な史料の刊行を企画していますが、このたびその第2号が刊行されましたので、お知らせします。

 これは、フェルガナ地方のウラマー、イスハクハン・トゥラ・イブラト(1862−1935?)が、1917年のロシア革命の直後に書いた論説、Mizan al-Zamanの校訂テキスト(アラビア文字によるウズベク語)と解説からなっています。解説(ロシア語)が15頁、テキストが36頁という分量です。

 イブラトは、革命までカーディーの職を務めていたウラマーですが、開明派の啓蒙主義者として知られています。この論説では、教育の方法や新しい事物の受容、ムスリム民衆の慣行などについて、イスラーム法をふまえた議論を行っており、変革期中央アジアのウラマーの思想を知るには貴重な史料といえます。彼は、1935年70歳の時にソビエト当局に逮捕され、その最後は不明ですが、ペレストロイカ期に入って、ウズベキスタンではその業績の再評価が行われています。しかも、この論説はこれまで見過ごされてきた写本の刊行であり、その意味でも興味深いものといえます。

 今回の刊行は、今年度のフェルガナ・プロジェクトの成果の一つであり、ウズベキスタン東洋学研究所のバフティヤール・ババジャーノフ氏の全面的な協力を得ました。

 本書は、これまでと同じく、ご希望の方には差し上げますので、研究班事務局まで郵送先を明記の上、お申し込み下さい。
ias-hiro@l.u-tokyo.ac.jp

Central Asian Research Series No.1


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