1班c研究会報告

報告者と演題:伊藤弘子(愛知女子短期大学人文学科)
「インドにおけるイスラーム家族法―婚姻、離婚法を中心に―」

日時:2000年10月21日(土)
場所:東京大学文学部アネックス


報告者:柳橋博之



 1c班では,上記のような研究会を開催した。インドは,ヒンドゥー教徒が多数を占め,ムスリムが少数派である点,植民地期においてすでに家族法の近代的変容が始まっていた点で,特有の性格を有する。本報告ではこれらの点に関して興味深い問題提起がなされた。

報告の概要:インドではイギリスによる統治時代を通じて人の地位、身分のみならず婚姻、離婚、親子関係、相続、遺言などの分野について各当事者のパーソナルローが適用され、ムスリムにはイスラーム法が適用されてきた。しかし裁判所で誤解にもとづく解釈やイギリス法原理による修正がなされたため、インドのイスラーム法はアングロ・イスラーム法ないしアングロ・ムスリム法と呼ばれる、伝統的なイスラーム法とは異なる法へ変容していった。

 イギリスからの独立後、憲法には統一私法を制定施行すると規定されたが、近年は個々のパーソナルローと国家法の並存を認め、かつパーソナルローの現代化をはかる方向に進んでいるようである。
本報告では、以上のようなアングロ・イスラーム法の形成と、今後インド・イスラーム法がどの方向へ向かっていくべきかについてインドの諸学説を紹介した。


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