フェルガナ地方における過去1世紀の社会・経済的な変容をたどる上で、
帝政末期の統計資料は欠かすことができない。この資料には多くの問題が
はらまれてはいるが、これ以外には頼るべき資料は存在しない。
 現在、整理しつつあるのは、1898年帝政ロシアの全土で行われた最初の
国勢調査の記録や、1909年にフェルガナ州統計委員会が刊行したフェル
ガナ州内の県・郡・集落ごとの詳細な統計資料である。
 ここに掲載したのは、後者の表紙とアンディジャン県の統計の一例である。
ここには県の中心都市から村落までのさまざまな居住地ごとの、戸数、
土地所有の有無、人口(男女別と総数)、多数を占める民族、県都からの距離、
最寄りの鉄道駅名とそこまでの距離が示されている。これによる居住地の分布と
現代のものとの比較によって、過去1世紀のフェルガナ地方における開発の進展と
人口増加を地図上で確認できるだろう。
 これらのデータとソ連時代、そして現代のデータを比較検討する中で、この
地方の変容を地図上で表示することができるだろう。その中には、民族構成
の変化や、当局による「民族」の把握の仕方も含まれるだろう。





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