アラビア文字文献総合データベース
第2回連絡会

日時:2001年2月9日

場所:東洋文庫

参加:アジア経済研究所図書館、(株)アグレックス、大阪外国語大学附属図書館、京都大学大学院連環地域論講座、国立情報学研究所開発・事業部、上智大学アジア文化研究所、東京外国語大学附属図書館、東京大学東洋文化研究所、東京大学人文科学系研究科、東洋文庫、イスラーム地域研究プロジェクト総括班&第6班

議題:
(1)東洋文庫所蔵アラビア語・ペルシア語図書Web検索システムの紹介
(2)アラビア文字文献総合データベースの進捗状況〜4Dアプリケーションによるデータ蓄積(東洋文庫、東洋文化研究所、東京外国語大学)
(3)ALA-LC方式翻字データの取りこみについて〜ALA-LC方式翻字データのアラビア文字への復元プログラムの紹介
(4)アラビア文字図書の参照データベース(中東諸国のMARC)
(5)平成13年度の事業計画

概要:

○平成11年12月に続く第二回の連絡会では、第一回の連絡会後のその後の進捗状況が報告され、今後の方針が話し合われた。

○進捗した点は、マック・ウィンドウズ双方に対応する検索システムが完成したこと、東洋文庫・東洋文化研究所・東京外国語大学の総合データベースの構築が実現されつつあることである。

○現在の課題は、すでにできあがっているALA-LC方式翻字データをいかに、本総合データベースに取り込むかにあり、このための「変換プログラム」が紹介された。翻字をめぐっては、全国の大学図書館が結びついているNACSIS-CAT上でアラビア文字の扱いに今後変化があるのか否かが大きな関心の的である。研究者や図書館それぞれの意見を、NACSIS-CATに反映させていく必要が痛感されており、そのためのワーキンググループを、国立情報学研究所の参加をえて発足させることが決まった。

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参考資料(「2000年度イスラム地域研究・活動の記録」より)

○アラビア文字総合データベース計画の現状

総合データベースの構築にあたっては、ふたつのデータ蓄積方法が用いられる。第一は、6班(東洋文庫)で開発されたアプリケーション・ソフトをもちいて、直接にデータを蓄積する方法である。すでに参加機関間でデータは共有されており、新規入力に際しては他機関に所蔵されていない図書のデータのみを入力する形をとる。これにより入力の手間は大幅に削減される。今年度は、東京大学東洋文化研究所のアラビア語・ペルシア語図書、および、東京外国語大学のペルシア語図書についてこの方法での入力作業がすすめられた。3機関のデータを統合した「総合データベース」は今年度中に公開予定である。 

第二の方法は、国立情報学研究所の「国立大学等図書館総合目録(NACSIS-CAT)」上に蓄積されているアラビア語やペルシア語図書のローマ字転写データを「再利用」し、アラビア文字文献総合データベースに加える方法である。NACSIS-CATのローマ字転写は米国議会図書館方式に統一されているが、この転写はオリジナルのアラビア文字と必ずしも1対1に対応するものではない。しかし、特殊な変換プログラムを用いれば自動変換は不可能ではない。6班ではアラビア語言語学の研究者の協力を得てこの変換プログラムの開発にあたり、実用可能な変換プログラムをほぼ完成させた。現在は国立情報学研究所からローマ字転写データの提供をうけ、実験を重ねているところである。 

こうした進展をうけ、平成13年2月9日に第二回アラビア文字総合データベース連絡会を開催した。参加機関は東洋文庫、東京大学、京都大学、東京外国語大学、大阪外国語大学、上智大学、アジア経済研究所、国立情報学研究所など。アラビア文字文献総合データベース計画への参加希望機関は、それぞれの機関の事情に応じて第一ないしは第二の方法を選択することが可能であることが確認された。

今後に向けての議論では、NACSIS-CAT の多言語化の方針へ質問が集中した。国立情報学研究所のNACSIS-CATは、すでにUCSコード(国際符号化文字集合:Universal multiple-octet coded Character Set)への対応を開始しており、キリル文字や中国語簡体字の利用が可能になっている。さらにアラビア文字対応も技術的には可能といわれるが、具体的なめどはたっていない。連絡会では、NACSIS-CAT におけるアラビア文字の扱い方がどうあることが望まれるか、研究者サイド・図書館サイドの意見を取りいれて検討し、NACSIS-CATとアラビア文字文献総合データベースの連動を視野に入れて活動を進めていく必要があるという点で意見の一致をみた。その実施にむけて13年3月より6班と国立情報学研究所では、アラビア文字対応ワーキンググループの活動を開始させることになった。このワーキンググループにはアラビア文字文献の所蔵数の多い機関にも加わっていただき、方向性を定める努力を行っていきたい。