第一回「アラビア文字統合データベース連絡連絡会」
議事録

1999年12月20日(月)15時〜17時、

会合場所:東洋文庫3階 

参加機関: 

東洋文庫(新プロ第6班、図書部、以下文庫)、東京大学東洋文化研究所(以下東文研)、東京大学イスラム学科(以下イ学科)、京都大学アジア・アフリカ地域研究研 究科(以下京大)、国立民族学博物館地域研究企画交流センター(以下地域研)、大 阪外国語大学(図書館、以下大阪外語、慶応義塾大学(以下慶応)、お茶の水女子大 学(以下お茶大)、東京外国語大学(図書館、以下東外大)、アジア経済研究所(以 下アジ研)、学術情報センター(以下学情)、ユネスコ東アジア文化研究センター (以下ユネスコ) 

司会:林佳世子


司会より会合の趣旨説明の後、新プロ代表として佐藤次高氏挨拶(日本のイスラム研 究分野における情報の蓄積交換をコンピューター処理により効率化することの意義を 強調) 

司会:文庫で行われてきたアラビア語文献目録作成作業の経緯及び現状説明。 

1.各機関の現状 

東文研:「西アジア資料のデータベース化の基本研究」と題して2年前からアラビア 語、ペルシャ語、オスマン語文献の入力を進めてきており、現在アラビア語とオスマ ン語の一部(雑誌)については入力済み、オスマン語残りとペルシャ語については来 年度早々に終了の予定。文庫フォーマットを利用。今後とも文庫形式と連携していき たい。図書館の方へは転写したカードを渡している。

 イ学科:学科として購入したアラビア語図書についてはLC方式の転写データを大学図書館へ渡している。しかし図書館側の対応が十分ではなく、それを基にしたパソコン 検索が不可能であるため、利用者にはカードを引くことを勧めている現状であるが、 来年度から大学側がカードレス化を奨励する方針であるため事態は危機的であり、既存のフォーマット利用の手段があるのであれば喜んで参加したい。

大阪外国語大:大学図書館として85年以降機械化を進めてきており34万冊以上をローカルで入力した。(特殊文字を使用する言語につき)、従来は各語科が独自の方式で転写し てきたが、94年以降入力方式の見なおしが行われ、学長裁量費等でタイ語とビルマ語 をLC化した。98年科研費により、ヒンディ語の翻字データに画像処理したデータを加 えた形式を使い8,600件を入力。96年頃から全体をLC方式で統合化する方向で作業中 である。97年度にはペルシャ語につき約半年を費やしてLC方式とマックで作成した データを統合し文献目録をCD形式で完成させた。他にはアラビア語約2500冊(書誌 データとして1437件)、ウルドゥー語約2800冊(書誌データとして1498件)が入力待ち(あるいは入力中?)状態。 

司会:ヒンディ語で行ったプロジェクトを他言語でも行う予定は?

大阪外国語大 :現在のところない。

京大:現在の手持ち分3916冊のうち1353冊につきLC方式での入力が終了しており学情 へ流している。データ作成のため図書WGを形成しており、教員5名、司書2名、アラビア語のわかるアルバイト数名の体制で作業中。今後2年間で約2万冊購入の予定であ り、このように大規模に収集するからには可及的速やかに学情に乗せ相互貸借を可能 とするため、当分LC方式で進めることとし、現時点でアラビア語入力は考えていない。現体制でデータ化にかかる費用は1冊あたり200〜300円と見積もられる。

慶応:三田では15年前からペルシャ語、アラビア語、オスマン語につき転写してき た。日吉では未整理。2年前からカードレス化が進められたが学情には入っておらず 三田メディアセンターHPでの検索のみとなっている現状は問題視されており、文庫や 東文研の方針に習いたい。

司会:中近東文化センターの現状を紹介

地域研:蔵書としてはアラビア語で80年代以降(購入のもので?)政治経済、社会分 野のものが多い。他に雑誌と新聞が少々とエジプト映画のビデオが1200本。カードで 整理していたが不充分であり、今後改めて整理を開始する。ペルシャ語やトルコ語も 今後購入の予定である。

司会:地域研は新プロ第3班として、図書購入及びその整理については文庫と共同歩 調を取っている。

お茶大:アラビア語蔵書は約300冊と小規模であり、その整理のために大きな予算が 付く見通しはないため、全国規模の統合データを利用できるとありがたい。独自の文 献目録作成も可能となる。

アジ研:当該言語でデータを作成することが原則であるため、アラビア語については アラビア語版ウィンドウズで対処してきた。現在約450件(?)。同時に図書館業務用の「アイリス」でも一部データを入力しなくてはならないため作業は煩雑である。

学情:本年11月より多言語対応が可能となったため、UTF-8(統一文字コード)を導入 し、中国語、韓国語等からデータの入れ替えを開始する予定である。アラビア 語に関し、全国で相当量の蔵書があることには注目する。当面はLC方式。後に可能で あればアラビア文字データを完備していく。

司会:学情の多言語対応に是非アラビア語の参入もご検討願いたい。

東外大:大阪外大と同様、従来は各語科が独自の方式で転写したものをカード化してき たが、整理が追いつかず、本年7月よりヒンディ、ウルドゥ等特殊文字を使用する言語を中心に集中的にデータ化する方針で教官側と合意を得ている。その際のデータ化 の形式としてはLC方式に大半が賛同したが一部反対もあった。図書館としては学情と のリンクは必須であるため、原語の文字と翻字の両方を記載する形式を採用したい意向。文庫フォーマットを基本として、そこに転写も組み込み、一部を学情へ流す方針 を検討中。現在ウルドゥにつき翻字をしつつ直接入力。学情で5〜6割がヒットする。 また、アラビア文字のローカルデータベース構築プロジェクトで科研費を申請中。

文庫:6〜7年前から科研費で特殊語をデータベース化。次第にデータベースの形式が分裂していくことを防ぐために、2年前から言語間でのフォーマットを統一。図書部 としては、所蔵を明確にすることが目的であり、アラビア語も文庫全体の所蔵の一部 として捉えている。核となるフォーマット及び入力規則があって多言語へ広がってい くことが望ましい。現在の全体入力数約2万件。

 

2.新プロからの提案

(1)以上の各機関の現状を踏まえ、学情にアラビア語が入る可能性をにらみつつ現 時点から作業を行えないか? 

(2)例えば小規模で統合したアラビア文字版データベースを暫定的に置き、各機関 の利用に供する。具体的には、既に入力されている2〜3機関のデータを合体させ、一 つのデータベースとしていずれかのサーバーに置き、各機関が新規入力を行う場合ま ずそこにアクセスする。そこに新たなデータを加える際には、データベース管理者が その内容をチェックする。 

(3)学会が窓口となることが望ましいとの学情側の意向を受け、新プロと文庫がサ ポートしつつ中東学会を前面に出し、新プロの予算がついている今後2年間に集中的 な遡及入力を行う

 

3.討議、質疑応答等 

アジ研:学情に登録していない機関としての対処方法は?(参照マーク?)

イ学科:(文庫に対し)アラビア語入力をスタートさせる場合初期のコストは?

文庫:インターネットへ接続可能なマック1台程度。

慶応:(東外大に対し)翻字は必ずしも必要ないのでは?翻字作業に要する時間とコ ストは大きい。

東外大:入力の人件費等がネックになるなら再考するが、現状においては、学情との連携に加え、書架に並ぶ以前の事務処理のレベルや紛失といった事故の場合を想定すると翻字は必須と思われる。

文庫:文庫としては将来にわたり翻字方式を利用する予定はない。

東文研:提案の組織形態部分につき、学情を(将来的な)データベース管理者、図書 館を実行部隊、機関は収集者及び利用者と位置付け、暫定的な統合データベースの新規と遡及入力をチェックする管理者を3者間の補修班のようなWGとして立ち上げては ?

司会:当面、実行部会の中で誰か管理者を設定することになる。今回のような連絡部 会は間口を広く取って直接参加しない機関の出席も募りたい。