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文化資源学 (美学芸術学) 教授
渡辺裕 WATANABE Hiroshi
▼ 研究テーマ

作曲家グスタフ・マーラーの研究からスタートし、もっぱら「音楽学」という枠組みの中で、コンサートや聴取にかかわる制度史や、演奏史、レコード史などのメディアにかかわる歴史、さらには日本における西洋音楽受容をはじめとする日本文化の「近代化」過程といったテーマの研究を続けてきた。文化資源学研究専攻にかかわりはじめてから10年ほどになるが、それを機会に、自分の周りに自明のものとしてあった「音楽」や「芸術」という枠組みから解き放たれ、より大きな括りの中でものを考えるようになり、その研究対象は大きく広がった。2013年に上梓した著書『サウンドとメディアの文化資源学』では、寮歌、チンドンといった「音楽」の境界線上ギリギリの事例から、さらには弁士の語りやSLの音のレコード、ソノシートつき雑誌『朝日ソノラマ』など、「音の文化」とでも括るべき多彩なテーマを取り上げている。いま取り組んでいるのは《聴覚文化・視覚文化の歴史からみた「1968年」:日本戦後史再考》というテーマであり、日本戦後史の転換点として、とかく政治的な面からばかり取り上げられがちな1968年前後の文化状況について、人々の感性や、それが形作る文化のあり方の変化という観点から捉え返そうとする試みである。

文化資源学という学問に出会ったことは私にとって、単に「音楽」や「芸術」の概念にあてはまらないものまで研究対象を広げるきっかけになったというだけではない。音楽や芸術が最初から「ある」ものなどでは決してなく、文化的・社会的な様々なコンテクストの織りなす力学の中で音楽や芸術に「なる」ものであるという、考えてみれば当然の事実をあらためて認識させられる中から、その「なる」メカニズムがいったいどのようなものであり、その過程にどのような人々がどのように参与しているのかという、これまで背景に退いていた大きな問題圏が自分の前に開かれてきて、音楽や芸術をめぐる風景自体がその相貌を全く変えつつあることを、いまあらためて感じている。

▼ 著書
  • 『聴衆の誕生―ポストモダン時代の音楽文化』(春秋社、1989、サントリー学芸賞;増補改訂版、1996;中公文庫、2012)
  • 『文化史のなかのマーラー』(筑摩書房、1990、音楽執筆者協議会クラシック部門新人賞、;岩波現代文庫、2004=『マーラーと世紀末ウィーン』と改題)
  • 『音楽機械劇場』(新書館、1997)
  • 『宝塚歌劇の変容と日本近代』(新書館、1999)
  • 『西洋音楽演奏史論序説―ベートーヴェン ピアノ・ソナタの演奏史研究』(春秋社、2001、博士〈文学〉学位請求論文)
  • 『日本文化 モダン・ラプソディ』(春秋社、2002、芸術選奨文部科学大臣新人賞)
  • 『考える耳―記憶の場・批評の眼』(春秋社、2007)
  • 『考える耳再論―音楽は社会を映す』(春秋社、2010)
  • 『歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ』(中央公論新社、2010、芸術選奨文部科学大臣賞)
  • 『サウンドとメディアの文化資源学―境界線上の音楽』(春秋社、2013)


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