文化経営学 教授
小林真理 KOBAYASHI Mari
- 広く、文化や芸術の発展を支える、あるいは阻害する制度・仕組み全般(たとえば、法律、条例、計画、補助金、法人化、指定管理者制度、行政評価)に関する研究
- 公共政策としての文化政策を現実の社会の中で行っていく場合の原理原則及び方法論に関する研究(公立文化施設の経営・運営に関するものを含む)
- 様々な角度からみた「表現」「文化」と「法」の問題
- 文化政策を執行していく機関及びアクターとしての行政そのもの、劇場及び美術館等の芸術機関、「市民」の研究
現在もっとも強く関心を抱いているのは、都市および地域レベルで文化政策がどのように執行されており、それがどのような政策決定過程を経ているかという問題です。近年は、いくつかの自治体の文化振興条例及び文化振興計画の策定、そして評価に、そして公立文化施設を運営する財団等の改革に調査研究レベルから深く関わっています。こだわっていることは、芸術(文化)を振興することと、芸術(文化)で振興することを、どのように調整するかという点です。 私自身は両方が大事だと思う立場です。人が生きている、住んでいるところには必ず文化が存在し、それを担っていくのは市民であると考えています。
大学院では、論文の研究指導のほかに、文化経営学演習と文化経営学特殊講義を行っています。毎年日本文化政策学会でグループワークの成果をポスターセッションで発表しています。学部生向けには社会学演習(今年度までは文化資源学演習と同一授業)をアートマネジメント、アートプロジェクト、や文化政策を取り扱いながら行っています。また、学芸員資格科目でありますが、公立文化施設(美術館、博物館、文化ホール等)の運営に関する基礎的な制度と問題点を講義形式で扱っている文化施設経営論を行っています。2019年度は学部生がとても熱心で、2018年度から準備して学内でアートプロジェクトをやってみました。外部の方をお呼びした報告会とアーカイブブックの作成まで充実感のある取り組みができました。大学院も、学部も、夏にゼミ合宿をしています。
文化資源学研究室で学んだことを社会の具体的な現場で活かしてくれるような人(そのような意思を強く持つ人)が入学してくれることを歓迎します。広い意味での文化行政の仕組みや制度に関心を持っている人に来てもらいたいと思っています。
- 『アーツ・マネジメント概論』(共著)(水曜社、2001年)
- 『文化行政―はじまり・いま・みらい』(共著)(水曜社、2001年)
- 『文化政策学』(共著)(有斐閣、2001年)
- 『文化政策を学ぶ人のために』(共著)(世界思想社、2002年)
- 『小出郷文化会館物語-地方だからこそ文化のまちづくり』(共著)(水曜社、2002年)
- 『文化権の確立に向けて─文化振興法の国際比較と日本の現実』(単著)(勁草書房、2004年)
- 『指定管理者制度で何が変わるか』(共著)(水曜社、2004年)
- 『指定管理者制度と公立文化施設の運営─文化的公共性を担うのは誰か』(編著)(時事通信社、2006年)
- 『グローバル化する文化政策』(共著)(勁草書房、2009年)
- 『公共劇場の10年-舞台芸術・演劇の公共性の現在と未来』(共編著)(美学出版、2010年)
- 『アクセス公共学』(共著)(日本経済評論社、2010年)
- 『行政改革と文化創造のイニシアティブ─新しい公共の模索』(編著)(美学出版、2013年)
- 『文化資本─クリエイティブ・ブリテンの盛衰』(訳書)(美学出版、2017年)
- 『文化政策の現在[全3巻]』(編著)(東京大学出版会、2018年)
- 『新時代のミュージアム-変わる文化政策と新たな期待』(共著)(ミネルヴァ書房、2020年)
- 『法から学ぶ文化政策』(共著)(有斐閣、2021年)
- 『自治体文化行政のレッスン55』(共著)(美学出版、2022年)
文化経済学会<日本> 理事
日本文化政策学会 副会長
高知県文化芸術振興ビジョン評価委員会委員
三重県文化審議会委員
滋賀県文化審議会委員
その他、奈良県、東京都、山梨県、足利市、国分寺市、小金井市、武蔵野市、杉並区、足立区等、各種委員会。
文化庁文化審議会文化政策部会臨時委員(2018−)
文化庁文化審議会博物館部会臨時委員(2019−)
文化庁文化審議会文化財分化会企画調査会臨時委員(2021−)
公益財団法人 東急財団 理事
公益財団法人 武蔵野文化生涯学習事業団 評議員
公益財団法人 読売交響楽団 理事