第26回認知神経科学会学術集会は7月17日(土)、18日(日)の二日間開催されます。開催形式については、コロナ禍が期待通りには沈静化していない現状を鑑み、リモート開催とすることになりました。関係者一同、鋭意、準備を整えて、皆様のご参加をお待ちしております。
1996年に発足した認知神経科学会は、神経心理学、行動神経学、認知神経学などの領域を包含する学会ではありますが、本学会理事長の本村暁先生は、人間の学として認知神経科学を位置付けられ、定説や権威に捉われない、率直な議論のできる学会を目指されており、学術集会はその役目を果たさなければなりません。
そこで、本学術集会のテーマは、「予測、予知、予防の認知神経科学」とさせていただきました。コロナ禍においても、先を見て、備えるということが如何に困難であるかを我々は実感したわけですが、予測、予知、予防といった観点から、人間の学としての認知神経科学について本学術集会において議論したいと考えました。
予定している学会のプログラムについてご紹介させて頂きます。招待講演は、”Predictions in the Brain: Using Our Past to Generate a Future” (Oxford University Press)を出版された、Bar-Ilan University(イスラエル)の神経科学者であるMoshe Bar先生に、最先端の神経科学的研究成果についてのご講演をお願いしました。また、特別講演として、『Passion 受難を情熱に変えて』を出版された、東京大学付属病院放射線科の前田恵理子先生に、半側空間無視を含む、ご自身の病状に関する客観的でリアルな体験を元にした認知神経科学への期待についてお話しいただきます。シンポジウムでは、金沢大学国際基幹教育院臨床認知科学研究室の松井三枝先生、東京都立産業技術大学院大学認知症・神経心理学講座の佐藤正之先生、慶応義塾大学医学部精神神経科学教室の三村將先生に、ご自身が取り組まれている心理学、脳神経内科、精神神経科からの研究アプローチについて話題提供頂き、学際的な議論につなげたいと考えています。また、心理学、精神医学の観点から、「予測、予知、予防の認知神経科学」に関わる教育講演が予定されています。
認知神経科学に携わる多くの方々のご参加、ご発表を心よりお待ちしております。
令和3年1月吉日
会長 横澤 一彦
副会長 稲富 雄一郎